【パリ=小笠原拓郎、青木規子】18年春夏パリ・コレクションは、デザイナーの交代劇が激しい。歴史あるブランドは新デザイナーを迎えることで、その歴史に新章を加えようとしている。ただ、これだけ頻繁にデザイナー交代があると、新しいブランド像を主張しようにも、他の多くの新体制ブランドの中に埋もれてしまいかねない。果たしてデザイナー交代で新機軸をアピールできるブランドはどれだけあるのか、注目されている。
(写真=大原広和)
ロエベは、これまでよりもラスティックなムードを強調しながら、よりウェアラブルなイメージを見せた。ギンガムチェックを折りたたんだ生地をフロントに飾ったドレス、コットンジャージーをアブストラクトにパッチワークしたドレスなど、リアルでカジュアルなドレススタイルが揃う。

小花柄のドレスはウエストにぺプラムディテールを飾り、ジャージーのシャツドレスはウエストからレザーのテープを垂らす。ペーズリーのドレスはスパイラル状に生地を切り替え、アシンメトリーのヘムラインが軽やかに揺れる。

クロシェニットのドレスは優しい色が重なり合い、タイダイのコートとパンツのセットアップも柔らかな色の組み合わせで見せる。3Dのようにフロントで生地が揺れるロゴのセーター、ジャカード地のヘムをほどいてフリンジにしたトップなど、縦の布の動きが素朴な気分を加える。足元はメキシコのブーツのように、トゥが上にカーブしたディテールのスニーカー。クラフトタッチの繊細なテクニックを背景にしながら、軽やかなムードに収めた。

クロエは、新ディレクターにナターシャ・ラムゼイ・レヴィを迎えて初のショーを見せた。これまでのクロエの柔らかな女性像から、より力強い自立した女性像へと変化した。白、パウダーブラウン、赤、ベージュ。シェードのかかった色をベースに、スタンドカラーや刺繍、大きめのショルダーラインの布使いで見せる。刺繍はサークルのモチーフやアイレット、シルクのドレスにはスピリチュアルな目のプリントが載せられる。

ステッチを利かせたクロップトパンツはブーツと合わせて軽快に。小さな馬の刺繍をたくさんのせたジャケットやパンツは、ホースライディング(乗馬)というメゾンの背景から登場している。襟元にメタリックな刺繍を飾った花柄プリントドレス、メタリックなニットとスパンコールを切り替えた重厚なドレスもある。鈍い光を放つ装飾のドレスは、創業者のギャビー・アギョンの出身地でもあるエジプトを感じさせる。ラムゼイ・レヴィは、バレンシアガやルイ・ヴィトンでニコラ・ジェスキエールのアシスタントを務めていた。

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