【トップインタビュー】フランドル 栗田貴史社長

2018/03/06 04:00 更新




 5年前から製販一体をテーマに企業の改革に取り組んでいるフランドル。これまで社内の企画をブランド別から一本化したほか、各店ごとの対応力が強まる複合業態への転換を進めてきた。川上各社とはプロジェクト型の協業体制を組み、競争力があって差別化された商品開発を強めている。そのために昨年まで数多くの種をまいてきたが、今年からは店第一主義を徹底し、精度の向上に努める。

川上企業との協業と企画の一本化が定着 「スーペリアクローゼット」が軌道に

-これまでの改革の進展はいかがですか?


 当社は、この間、川上と密な連携を取りながら、企画をブランド別から全社で一本化するという他に例を見ない企画体制で、差別化した素材を使ったオリジナリティー溢れる物作りを確立してきました。そして、この企画体制の一本化が定着してきたことで、ブランドごとの特徴をきちんと打ち出した良質で価値の高い商品開発が進み、「イネド」や「イヴォン・イネド・ヌーヴェルバーグ」「ルフトローブ」などのブランドを複合させた業態「スーペリアクローゼット」が軌道に乗ってきました。「スーペリアクローゼット」は、昨年、玉川高島屋SCでSCへの初出店を行うなど順調に出店を続け、今度の仙台出店で13店舗目となり、東日本の主要都市はほぼ網羅いたします。次は、いよいよ西日本と関東圏への出店となり、ショップの集約をさらに進めていきます。

 また「イッツインターナショナル」も、川上企業との協業で良質な素材を用いて、国産を中心とした手頃な価格の価値ある定番品として人気を得ており、百貨店でのイベント販売で大きな実績を重ねています。しかし、さらに競争力のあるブランドとするために、これまで以上に川上企業との連携を強め、コストダウンを強力に推進しました。価値を維持しながら約3~4割のプライスダウンに取り組み、一層価値感の高い商品に磨き上げています。

お店第一主義を徹底 全社一丸となって現場(お店)に入る

-当面の重点施策は?


 特に力を入れていくのが、お店第一主義の徹底です。その実現のために、百貨店、駅・SCそれぞれを対象にした店舗対策プロジェクトチームを作りました。これは、役員、企画、MD、営業、店長らでチームを組み、誰か1人が行って終わりではなく、チーム全員が店頭の現場に入って、お店のスタッフといっしょになって、店ごとにお客様のニーズや問題点を把握、分析し、お客様のニーズに対応した物づくり、商品開発の精度アップを徹底していきます。

 これまでも、物作りの体制が整ってきたのに合わせて、ショップと企画・生産が柔軟に迅速に対応しながら製販連動を強化して、企画の修正や消化率の向上などに取り組んできましたが、まだ不十分さがありました。ここで改めて、全社一丸となってお店に入り、商品企画の精度を高め、お店ごとにどの様に売り上げを作っていくのかをお店のスタッフと一緒になって深く集中して取り組みます。

 百貨店では「スーペリアクローゼット」を軸に、重点店舗を対象とし徹底強化していきます。また、駅・SCでは、昨年、「クリアインプレッション」の都市型新業態「マルシェ・ド・クリアインプレッション」の出店や新宿ミロードと共同開発し、20~30代をターゲットにした単品コーディネートの新業態「プリーム・ド・トワル」の出店など、積極的に様々な業態をスタートさせていますので、新しいお店を軸にいかにきちんと売り上げを作っていくかを徹底します。

お店との連動をきちんと行いながら会社全体としてすすめていく

-ECはいかがですか? 

 ECについては、全社売上比率は、今は9%ですが、長期的には25%にまで高めていくことが目標です。昨年はECサイトをリニューアルし、まずはリニューアルから見えた改善点や売上アップの作戦などに取り組んでいきます。今年はそこにCRM(顧客関係管理)の仕組みを取り入れながら、さらにオムニチャネル化を進めていきます。また、バイラルメディアを活用した消費者への発信、情報連携も強めます。アプリの開発への投資なども行い、きちんと商品価値を伝えることを強めながら、自社サイトでの販売をより強めていきます。ポイントはやはりお店との連動をきちんと行いながら、会社全体としてすすめていくことです。

お客様に選ばれる理由のある商品を いかにお客様にお伝えできるかがポイント

 この間、企画から着手して社内改革を進めてきました。店も複合業態に集約してきましたし、形は大分、固まってきました。一方で、お客様と私たちの提案にずれもまだあります。お客様へのアプローチの仕方もいろいろ改善する点が見えてきました。これまでの改革の精度を上げていくことが、今期の課題だと考えています。これまで店頭スタッフの物作りへの理解を深める努力を進めてきましたが、これからは、お客様に選ばれる理由のある商品をいかにお客様にお伝えできるかがポイントです。店頭現場での声、ニーズ、問題点を全社一丸となって認識し、対応していくことに力を注ぎ、勝てる体制にしていきます。

profile

1973年愛媛県生まれ。

米国Franklin Pierce College(現Franklin Pierce University)芸術学部写真専攻卒業後、百貨店に入社。

アパレルメーカー勤務を経て、2002年フランドル入社。取締役常務執行役員、専務取締役を経て2010年より現職。

自身の売り場での販売経験を生かし、北海道から鹿児島まで足を運び、サービスの向上を目指す。

株式会社 フランドル

〒151-0051東京都渋谷区千駄ケ谷3-38-9 IBF-PLANNING ビル

http://www.flandre.ne.jp/

(繊研新聞本紙3月5日付け)



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