《視点》記者の役割

2026/10/15 06:23 更新NEW!


 先日取材したファッションコンテストの最後の講評で審査員の1人である原由美子さんの言葉が印象深かった。制作作品への賛辞の後に、「私はデザイナーではなくて、デザイン画も描けないし、作れない」と話し、だからこそ〝着るための洋服〟として作品を解釈し「自分を慰めている」と話していた。

 同様のことを取材の中で時折感じる。縫製工場の取材をしているが私は服を縫えないし、社長の取材をするが、自分は会社経営をした経験がない。記者としての立場と取材先との距離感を、どのように保ったら良いのか、悩む瞬間がある。

 それでも、掲載記事を読んだ取材先から感謝の言葉を頂くことがある。記者としての立場と、日々業界の皆さんから聞く厳しい現実との間で悩んだ末に書いた記事を自分なりに読み返すと、多くの声を聞いたからこそ、業界全体を俯瞰(ふかん)して問題を浮き彫りにする報道も出来るのかもしれないと感じる。

 そう考えると、私たち記者にしかできない仕事もあると自分を慰めながら、これからも、一人でも多くの人を取材し、業界の声を多くの読者に届けたい。

(森)



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