国内の合繊メーカー各社がサステイナブル(持続可能な)素材に力を入れている。世界的な関心の高まりを背景に、改めてリサイクルポリエステルの原料調達や販売の仕組みを整備する動きが目立つ。多様化するニーズに対応し、生分解、バイオ由来といったリサイクル以外の切り口も充実する。
(中村恵生)
背景の一つは、昨年から急速にクローズアップされる海洋マイクロプラスチックごみ問題だ。6月に大阪で開かれた20カ国・地域首脳会議(G20)でも議題に上がり、流出抑制やごみ削減に向けた「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」が共有された。
小売りや飲食ではレジ袋、ストローなどの使い捨てプラスチック削減の動きが広がるが、繊維では廃棄ペットボトルを再利用するリサイクルポリエステルが広がっている。
東レは改めてリサイクル強化の方針を掲げる。客先の関心の高まりを受け、原料調達や出口作りの取り組みを検討する。リサイクル合繊そのものは台湾など海外糸も多く出回っているため、リサイクルによる差別化糸の開発も進める。
帝人フロンティアは「海外大手スポーツブランドがエコ素材への転換を打ち出している」(日光信二社長)とし、リサイクルの異形断面糸など高付加価値素材を強化する。中国の合弁工場で手掛けるケミカルリサイクルも引き合いが増えており、こちらも伸ばしていく。同社のほかに、ユニチカトレーディングも新たにケミカルリサイクルを始めている。
また「環境の切り口で、引き出しを多く持っておくことが大事」(細田雅弘ユニチカトレーディング社長)とし、バイオマスで生分解性のあるポリ乳酸「テラマック」、100%バイオマスナイロン「キャストロン」など多様なテーマでブランディングを検討する。