160年続く神戸の老舗テーラー「柴田音吉洋服店」が伸長 フルハンドメイドで新客層獲得

2026/10/19 11:00 更新NEW!


若い女性客が仕立てたベストスタイル

 神戸で160年近く続く柴田音吉商店は、本業のビスポークテーラー「柴田音吉洋服店」で自社ウェブサイトを軸にしたデジタル戦略が成果を上げている。30歳以下の若年層や女性など新規客を取り込み、売り上げを大幅に伸ばした。「低価格のイージーオーダーやパターンオーダーとは一線を画したフルハンドメイドによるオーダースーツが、従来型の富裕層だけでなく、次世代経営者やエグゼクティブ層から支持された」(柴田音吉社長)と考えている。

(大竹清臣)

若年・女性が2割

 前期(26年8月期)の売り上げは、秋冬(25年9月~26年2月)が前年同期比87%増、春夏(3~8月)が89%増で、通期では87.8%増だった。春夏の売り上げ比率が例年の30%から38%へ上昇した。これは強化していた高級モヘヤ生地が春夏向けで人気だったことが大きい。今年9月も秋冬物が堅調で、20代が4人来店した。

軽く・涼しい仕立ての「クール・スーツ」

 客層は女性客と30歳以下で20%まで広がった。女性向けのオートクチュール店が減少したことや、1930年代などのクラシックなスーツを好むマニアックな若い世代などが、昔のディテールの再現を求めて来店するケースが増えたことが背景にある。「ビジネススタイルが多様化したと言われるが、〝勝負服〟としてのスーツが必要な客層がいなくなることはない。そこで良質なものを求めるとフルハンドメイドのオーダースーツに行きつく」(柴田社長)と強調する。

「スーツが必要な客層がいなくなることはない」という柴田社長

SEO対策に力

 新規客を獲得できたのは、7シーズン前からウェブサイトの検索上位表示(SEO)対策に取り組み、さらにAI(人工知能)検索対策にも力を入れてきた効果が出ているからだ。また、数年前の150周年の時にテレビや新聞など多数のメディアに取り上げられたことも大きい。

 その結果、東京からの来店も増えている。新規客の中には、高級生地を採用し、一度で200万円以上(2人)、100万円以上(5人)をまとめて注文する人もいる。

 同社もかつては工場生産によるイージーオーダーも販売していたが、10年ほど前に自社工房によるフルハンドメイドの総毛芯仕立てに完全に切り替えた。一時的に売り上げが減少したこともあったが、ラグジュアリーなグレードを維持し売り上げも回復した。客単価も向上しており、現在は35万~70万円が売れ筋になっている。「スキャバル」「ドーメル」などインポート生地に加え、葛利毛織のシルクサッカーなどが人気だ。



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