脚本家の倉本聰さんが亡くなった。東京・深川の料亭を舞台にした『前略おふくろ様』、北海道・富良野で生きる家族を題材にした『北の国から』など、昭和を代表する数々のドラマを手掛けた。年配の方のみならず、再放送を含め同氏の作品に触れた人も多いはず。居を置いた富良野市には献花台が設けられ、全国からファンが訪れていると聞く。
比較的裕福な家庭に生まれ、麻布中学・高校から東大に進んだ。ニッポン放送のプロデューサーなどを経た後、番組を巡るトラブルなどもあって富良野に移住。中高の同級生である西武鉄道グループの元オーナーの堤義明氏とは長い交友を結んだ。
一見、華やかな経歴を重ねてきたように思うが、作品は市井の人々に焦点を当てたものが多い。日々の何げない出来事を描きつつも、人生とは何か、社会とは何かを深く考えさせられた。特に北の国からでは、経済至上主義や拝金傾向、薄れていく人と人との関係などに警鐘を鳴らした。第1話は電気も水道も無い場所で、家族が生活を築き上げていくシーンから始まっていく。
時は移れども、氏が持った危機感は変わっていないのではないか。自己・自国中心の考え方、効率優先主義、薄れゆく人情など暗いニュースが日々流れる。人の本当の幸せとは何か。ファッションがどんな役割を果たせるのかを、今一度考えたい。
