ジョルジオ・アルマーニ氏（25年1月のオートクチュールのコレクションで＝大原広和写す）
アルマーニ・グループは9月4日、デザイナーで創業者のジョルジオ・アルマーニさんの死去を発表した。享年91歳。
20世紀を代表するファッションデザイナーであり、アルマーニ・グループを世界的企業へと成長させた。ソフトコンシャスのテーラードスタイルで、80年代にソフトスーツの世界的ブームを生み出した。ナチュラルトーンをベースにした柔らかくしなやかなテーラードスタイルで、時代の寵児となった。サビルローに見られる体に沿った構築的なシルエットが普通であったメンズファッションを、緩やかに体を包み流れるようなシルエットへと変え、テーラードスタイルを劇的に進化させるゲームチェンジャーとなった。
近年は、ミラノにアルマーニ・テアトロを建設し、世界的フォトグラファーのアート作品や自らのアーカイブを披露するなど、文化的な事業も進めてきた。また、若手デザイナーのミラノ・ファッションウィークでの発表を支援する活動も積極的に行った。
初めてアルマーニの服に出会ったのは、映画『アメリカン・ジゴロ』の中でのこと。その衝撃は今でも覚えている。ファッション・ジャーナリストとなって、30年近くの間、そのショーを見続けてきた。時代の趨勢を感じながらも、ショーのフィナーレで元気な姿を拝見するのを楽しみにしていた。25年秋冬のオートクチュールのショーは体調不良とのことで現場ではお見かけできなかったが、ミラノからリモートで指示をされていたと聞いた。9月のミラノでの再会を楽しみにしていた。安らかにお休みください。美しい服に出会えたこと、感謝しています。
（小笠原拓郎編集委員）
