「この服だから着たい」の声のために アルページュ


 「アプワイザー・リッシェ」「マイストラーダ」「ジャスグリッティー」「リランドチュール」と、エレガンスファッション市場で存在感を発揮し続けるアルページュ。女性たちが本当にほしい服を提供するためのブランドの考え方について野口麻衣子社長に聞いた。

野口麻衣子 アルページュ代表取締役社長

女性の気分を上げる商品を作り続ける

―― 女性たちにどんな服を提供したいか。

 女性たちが求めているのは「気分が上がる服」だと思います。自分に似合う、他人からほめられた、外に出かけたくなるなど、自分の中でスイッチが切り替わるような服です。それが当社にとっての“良い服”かもしれません。今の気分をいち早くキャッチしてお客様の半歩先を提案するのが我々の仕事です。

 そのためには、社員が自分で服を着たときの感覚を生かすことも大切です。料理人ならほかのお店の料理を食べ歩いて研究するでしょう。当社の社員たちは私も含め、自社商品を着るべき職種やシーンをのぞき業務中の服装はできるだけ自由にしています。色々なブランドを着ると着心地の良しあしも肌で分かります。

15周年を迎える「アプワイザー・リッシェ」

―― 自社のサンプルも社員で試着しチェックしている。

 社内でのサンプル検討は実際に着てみて、正面以外の角度から見てもすてきか、色のニュアンスはこう変えようといったことを議論しています。時間のかかる作業ですが、あれでもいい、これでもいいではなくて「この服じゃなきゃいやだ」と思ってもらえる服を作りたい。一方で、ディテールを追求しすぎてお客様が着たい時期に間に合わなくなると意味がないので、そのとき最優先すべきことを判断しています。

―― 各ブランドの企画にどう落とし込むのか。

 トレンドだけを見ているとどれも同じ商品になってしまうので、それぞれのブランドらしい表現を改めて大切にしていきたいです。一番大人の層に向けたマイストラーダの軸はモード、リランドチュールはカジュアル、アプワイザー・リッシェは王道のイメージです。ジャスグリッティーは比較的アプワイザー・リッシェと近いテイストですが、丈が長め、パンツが多いなど着方が違いますし、甘さの中にもシャープさを表現したい。4ブランドの複合店である「アルページュストーリー」は売れ筋デザインの限定商品を強化し、単独店にない価値を追求します。

女性が本当にほしい服を日々追求する(店長会の様子)

――商品企画以外で、女性のニーズに応えるために重要なことは。

 質の高い接客サービスも女性の気分を上げるものだと思います。お客様が誰かにその経験を話したくなるような接客サービスを提供できるスタッフを少しでも増やすため、これから社内勉強会などで社員に思いを伝えていこうと考えています。

カタログ用のビジュアルでも各ブランドの特徴を出す

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