ランデブー/ファンに寄り添い、さらなる成長へ


エイナーのEC発レディスブランド「ランデブー」は、20代のディレクター、SEIKAさんが作る等身大の服やスタイルで女性の共感を集めている。16年に始め、19年8月にはルミネ新宿・ルミネ2へ念願の1号店を出店した。20年3月には設立以来初のリブランディングも計画する。

ブランド名には〝恋人との待ち合わせ〟という意味を込めている。デートの待ち合わせの度に彼をどきっとさせるような、女性の魅力を引き出す服を提案する。年上の彼氏につり合う大人っぽい雰囲気を意識し、ベージュを基調にしたシンプルなデザインを特徴にする。定番商品は光沢感のある生地にプリーツ加工したロング丈ドレス。

毎シーズン人気の「ナチュラルドレス」

立ち上げた当初は、韓国で買い付けた服を自社ECで販売していたが、ランデブーの世界観やファンの声を追求し、3年ほど前からオリジナル商品を作り始めた。現在のオリジナル比率は7割で、残りの3割はアクセサリーを中心とした買い付けや別注品で構成する。19年5月に姉妹ブランドとしてコスメの「シェリゼ」も始めた。

原点は遠すぎず近すぎない距離感

強みはファンに寄り添った商品企画だ。一例は毎シーズン人気のバケットバッグ。SNSに寄せられた「パソコンや教科書がすっぽり入るハンドバッグが欲しい」との声から着想し、マチをたっぷりとった合皮のトート型バッグを作った。「自分の欲しいものが商品化されるかも。そんなわくわく感がファンに喜ばれている」(SEIKAさん)。

10~20代女性の、SEIKAさんに対する憧れも人気の理由。ブランドルックでは自らモデルとスタイリングを務めている。SEIKAさんの着こなしをおしゃれの参考にする女性も多い。親近感が湧くように日常の様子も投稿し、「遠すぎず近すぎない〝絶妙な距離感〟も良い」というファンの声もある。

ファンとの距離感はブランドの原点であり、価値でもある。19年10月には参加型のリアルイベントを初めて実施。「ブランドの拡大とともに、ファンとの距離が離れつつあった。もう一度、初心に戻らなければ」との考えからだった。

イベントは、招待したファンに加えSEIKAさんや他の社員も出席し、一緒にレザーチャームを作ったり、ランチを食べたりした。交流を深められただけでなく、「今の若い世代は人とのつながりを求めている」(阿部卓真社長)と気づかされた。服を売るだけでなく、ファン同士や、ファンと社員の交流の輪をさらに広げていきたいという。

招待イベントを開くなど、ファンとの距離感を大切にする

今の自分にリアルな服を

20年3月のリブランディングを決めた背景には、SEIKAさん自身の成長がある。10代でブランドを立ち上げ、これまでは背伸びした服が好きだったが、歳を重ねて少しずつ肩の力が抜けてきた。そこで、今の自分に合った服を作ろうと決心した。

商品はこれまでと同様に品質と価格のバランスを考慮しつつ、トレンドのデザインや色を程よく取り込む。加えて、顧客層が上にも広がっているため、目の肥えた大人女性に納得してもらえる服も作る。既存店もリニューアルする。服と連動して店内をベージュで統一していたが、床をペールピンクにして新たな表情を見せる。

阿部卓真社長とSEIKAディレクター

出店で〝待ち合わせ場所〟増やす

SEIKAさんの服への純粋な気持ちから始まったが、この4年で、ブランドをどう続けていくかというビジネスの意識も高まった。今、大切にしているのは「無理のない生産」だ。アパレル市場で地球環境に配慮した取り組みが当たり前に行われるなか、インスタグラムのいいね数で生産数を見極め、過剰生産を減らすように努めている。

今後は、札幌と大阪への出店を検討している。台湾などアジアのファンも多く、中長期的には海外進出も視野に入れ、〝ファンとの待ち合わせ場所〟を増やしていく。

リブランディング後は、大人女性への訴求も強める(新しい店舗イメージ)

■Brand history


Ainer, inc.

【TEL】03-6450-5591

【企業HP】http://ainer.co.jp/

【ブランドHP】https://randeboo.shop/

【Instagram】https://www.instagram.com/randeboo_official/

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