《視点》人類の進歩

2025/03/14 06:23 更新NEW!


 55年前、建物がほとんどなかった大阪府吹田市の千里丘陵に突如、未来を思わす建造物が立ち並び、多くの人を呼び集めた。エキスポ70、大阪万博だ。当時小学生だった自分も数回訪れた。アメリカ館の「月の石」や太陽の塔内で生物の進化の過程を表す「生命の樹」などに心が躍った記憶は今も色あせない。

 70年当時、高度経済成長の真っただ中にあった日本は急速に工業化が進み、生活水準も向上していった。同時に公害が深刻化し、環境問題が顕在化した。あれから半世紀以上が過ぎ、環境問題は自然破壊だけでなく社会性も含むサステイナビリティーへとステージを上げた。

 もうすぐ開催される大阪・関西万博のテーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。より良い社会を目指す様々なアプローチが見られることだろう。大国が武力で領土を拡大したり、DEI(多様性、公平性、包括性)を否定する大統領が誕生したりと、未来に一抹の不安を覚える現在の世界。70年大阪万博のテーマ「人類の進歩と調和」は今も生きている。

(樹)



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