再春館製薬所、サンショウに秘められた肌のエネルギー工場「ミトコンドリア」の“新生”促進効果についての特許出願を完了

2025/09/18 (2025/09/18更新)

株式会社再春館製薬所


株式会社再春館製薬所
「日本生薬学会第71回年会」にて同内容の発表、伝統生薬「不知火菊」のシンポジウム講演を実施

 基礎化粧品「ドモホルンリンクル」を製造・販売する株式会社再春館製薬所(本社:熊本県上益城郡益城町、代表取締役社長:西川正明 以下、再春館製薬所)は、サンショウ種子の加水分解物が、加齢やストレスで機能が低下する「肌のエネルギー工場(ミトコンドリア)」の“新生”を誘導する重要なタンパク質「TFAM」の発現を促進し、ミトコンドリアの機能を高める顕著な効果をもたらすこと、また、同機序によるヒト皮膚でのほうれい線の改善効果を確認。2025年9月、本研究成果の特許出願が完了したことをお知らせいたします。
 なお、同内容は「日本生薬学会第71回年会(2025年9月14日~15日開催)」で発表され、同学会のシンポジウムでは、熊本県の伝統生薬「不知火菊(しらぬいぎく)」の機能性と持続可能性に関する当社研究員の講演も行われました。

■約530種の植物サンプルの中から見出した、食品加工時の廃棄素材「サンショウ種子」の計り知れない力
 漢方の製薬会社である再春館製薬所の研究には、自然界の摂理から見出した「漢方発想」の
考えが色濃く息づいています。特に自らの意志で動けない植物は、過酷な環境を生き抜くための強靭な生命力が凝縮されているという観点から、数多くの独自素材開発を行ってきました。

奥飛騨の大自然の中で栽培されるサンショウ

 槍ヶ岳や穂高岳などの北アルプスに囲まれた、標高約800mの雄大な奥飛騨の自然の中で代々栽培される香り高いサンショウの種子との最初の出合いは9年前。当時は「効果が高すぎるため、化粧品への応用を断念」という結論に至った植物です。可食部の果皮のみを活用して廃棄されていた種子を、再春館製薬所は「大きく成長する木のエネルギーが凝縮された、生命力の塊」ととらえる漢方の着眼点で新たに見直し、研究を再開しました。

 約530種の植物サンプルをスクリーニングした結果、このアップサイクルしたサンショウ種子の加水分解物に、細胞のエネルギーを作り出すミトコンドリアの“新生”に関連する重要因子である「TFAM」を増加させる働きを確認(下記参照データ:図1)。また、この新生によるミトコンドリア量の増加(図2)による、エネルギー産生力の向上(図3)と、ミトコンドリア由来の活性酸素抑制によるミトコンドリア機能の向上(図4)で、ミトコンドリアの機能低下で引き起こされる「シワ・シミ・くすみ」といった、幅広いエイジングの肌悩みにアプローチできる可能性も示唆されています。

■再春館製薬所の結論は、「良質なミトコンドリアがエネルギーを生み出し続けるカギ」“新生”

 元気で質の良いミトコンドリアは、細胞が活動する上で欠かせないエネルギーを効率よく生み
出しますが、老化して働きが衰えたミトコンドリアは、肌老化を進める一因の「炎症」にもつながる「活性酸素」を過度に産生。さらに、自ら排出した活性酸素でミトコンドリア自身もダメージを受け、劣化します。必要なエネルギー量を充分に生み出せず、同状態の、生産効率が落ちた「劣化したミトコンドリア」を無理に活性化させる"延命”は非効率であり、本質改善には至らないというのが再春館製薬所の考えです。

 また、ミトコンドリアの恒常性維持機能として、劣化したミトコンドリアを自ら除去・分解する「マイトファジー(オートファジー)」の働きが広く知られていますが、加齢により同機能はより加速し、分解される量がミトコンドリアの生成量を上回ってしまうという課題があります。つまり「質の良いミトコンドリアの数」を維持・増加させるには、「劣化したミトコンドリア」を速やかに除去・分解させること。さらに、“新生”に関与するタンパク質を増やし、「自らの力で新しく産み出されたフレッシュで良質なミトコンドリアの量が、分解された量を常に上回るサイクルこそ、肌機能のために望ましい状態」という考え方が、再春館製薬所の結論です。



※イメージ

■ヒト臨床試験でほうれい線改善効果を実証。「サンショウ種子」の化粧品・食品への応用に高まる期待。
 「日本生薬学会第71回年会」では同内容に加え、サンショウ種子加水分解物配合のクリームと、未配合のクリームを半顔に12週間ずつ塗布という、ヒトに対するモニター試験の結果も公表。未配合のクリームを塗布した側ではほうれい線の「平均深度(図A)」と「最大深度(図B)」が悪化したのに対し、配合した側ではそれぞれの深度が減少(改善)するというデータが確認されました。


ほうれい線の平均深度について未配合クリーム群では12Wで約10.0%上昇しているが、配合クリーム群では約8.5%の減少が見られた。

ほうれい線の最大深度について未配合クリーム群では12Wで約20.0%上昇しているが、配合クリーム群では約5.7%の減少が見られた。

モニター試験方法:30~50代の男性社員20名<年齢構成:30代9名、40代9名、50代2名(平均41.3歳)>を対象に、サンショウ種子加水分解物配合クリームと未配合クリームを半顔ランダムに12週間塗布した。塗布は1日2回行った。0W、4W、8W、12Wで3D皮膚画像解析装置(アンテラ3D、miravex社)を用い、ほうれい線の平均深度・最大深度を定量測定した。

 本研究成果は、ドモホルンリンクルのリニューアルなどの機会を活かした「化粧品(皮膚外用剤)への実用化」を進めるとともに、将来的には健康食品・サプリメントなどの食品への応用も視野に入れ、さらなる展開を予定しています。

 自然界の生命力の象徴として「サンショウの種子」にその可能性を見出し、人体が本来持つ力に活かそうとする発想も、「TFAM」というタンパク質やミトコンドリアを命あるものが生まれながらに持つ力としてとらえ、「元の状態に戻ろうとする、“自己回復力”」を活かそうとする研究も、すべては再春館製薬所ならではの漢方理念の実践という必然的な流れによるものです。医学で注目される老化現象を身体全体でとらえる漢方の発想をベースとし、先端科学研究と製薬会社の技術力を融合させた「漢方の製薬会社としての独自のソリューション」を探求すること。その営みがおのずと「自然とつながり、人とつながる明日を」という企業理念の体現につながり続けること──これらすべてを自らの使命とし、来たる創立2032年への決意表明となる「ポジティブエイジカンパニー宣言」にて掲げた、「いくつになっても明日が楽しみ」の実現のため、再春館製薬所は今後も老化のメカニズム研究と解明を続けてまいります。どうぞご期待ください。

■参考データ


 
図1:サンショウ種子加水分解物添加によるTFAM発現量細胞試験の結果、コントロールと比較した場合、
サンショウ種子加水分解物の濃度に比例して、TFAMの発現量が増加。





 
図2:サンショウ種子加水分解物添加による
ミトコンドリア量の変化ミトコンドリアを特異的に染色する蛍光色素を使用。
コントロールと比較した場合、TFAMの増加と連動してミトコンドリア量も増加し、20ppm処理では約1.13倍の増加が認められた。




 
図3:ATP(エネルギー)産生促進コントロールと比較した場合、ミトコンドリア量の増加と比例してATP(エネルギー)産生量が増加、20ppm処理では約1.3倍の増加が認められた。




 
図4:ミトコンドリア由来活性酸素抑制ミトコンドリア由来の活性酸素を選択的に検出する
色素を使用。
コントロールと比較した場合、サンショウ種子加水分解物の濃度に比例して、活性酸素が抑制されることを確認。20ppmでは約25%の活性酸素が抑制された。




■「日本生薬学会第71回年会」にて、企業理念を体現する「不知火菊の機能性研究と持続可能性」への取組が評価

 サンショウ種子に関する研究の特許出願完了内容を発表した「日本生薬学会第71回年会」(2025年9月14日~15日開催)のシンポジウムでは、当社研究開発員が登壇し、自社管轄栽培を行う「不知火菊(しらぬいぎく)」に関する再春館製薬所の取組についての講演も行っています。

 本来、体の恒常性のためには必要なものの、過剰に生成されるとメタボリックシンドロームや糖尿病といった生活習慣病やガンの原因となり、心臓や血管でも「慢性炎症」を引き起こすタンパク質として、医学領域で注目されてきたタンパク質「アンジオポエチン様因子2(Angptl2)」。その特性から同タンパク質を「加齢加速タンパク質(ANL)」と名付けた再春館製薬所は、2013年に「加齢などを原因に、皮膚上でANLが過剰に増えると、シワやシミの原因になる」という事実を発表。同時に、当時は地元で健康茶として飲まれるためだけに育てられていた、熊本県不知火地方の固有種「不知火菊」に、同タンパク質の発現を80%抑制する特性があることを、世界で初めて公表しました。研究はさらに進み、2023年に「不知火菊から単離したANL抑制効果の有効成分を特定」についての特許を取得。翌年には肌への効果だけでなく、経口摂取でも血中のANL抑制効果がみられることが報告されています。この発見は、素材としての応用範囲を生活習慣病への有効な手段として「健康寿命」の領域にまで広げる、大きな可能性も示唆するものです。
  
 また、研究を始めた当時に学名すら持たなかった事実上の新種であることから、その稀少性の高い植物の安定供給を目指すべく、地域農家や自治体とも協力し自社管轄栽培を拡大。現在では、これらの持続可能な生産体制の整備が、地域に根づく新たな産業の活性化にもつながっていることから、今回の登壇は長年取り組んできた研究素材としての「不知火菊」の多岐にわたる可能性にとどまらず、地域の雇用創出にもつながる結果までも産み出した社会性意義に対する評価でもあります。


不知火菊

 

【再春館製薬所について】
 再春館製薬所は 1932 年に熊本で創業。「痛散湯」や「ドモホルンリンクル」を主とした、漢方理念に基づく医薬品・医薬部外品・化粧品の製造・販売を行う漢方の製薬会社です。「自然とつながり、人とつながる明日を」という理念を掲げ、「人間も自然の一部」という発想で選び抜いた植物の力を、製薬会社の技術で最大限に引き出して人の力に活かすものづくりを通し、「自然・人・社会の循環」を目指します。(https://www.saishunkan.co.jp/
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