成分ロス削減によるサステナブルビューティーを実現!
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:鶴岡宏樹)は、当グループのオーストラリア発祥化粧品ブランドJurlique(ジュリーク、補足資料1)独自のサステナブルな植物エキス製造法(補足資料2)における生体への有用性を科学の力で検証し、2026年9月28日~10月1日に開催される第36回国際化粧品技術者会連盟(以下 IFSCC)世界大会において発表します。

後藤 悠 研究員
◆研究の背景
従来の植物エキス製造では、単一の抽出法で得られる成分が限られるため、未利用のままの成分が生じています(図1)。また、十分な機能性を得るために異なる植物のエキスを組み合わせる必要があり、植物資源の有効活用という観点でも改善の余地がありました。本研究はこれらの課題に向き合い、「1種類の植物から最大限の機能を引き出す」というサステナブルな設計思想を提案するものです。■発表論文(補足資料3)
『植物の力を “丸ごと活かす” 新たな抽出設計思想で植物エキスの化粧品効果を解き放つ』英文名: Unlocking Novel Functional Cosmetic Benefits via an Unprecedented Design Philosophy for Extracting Plants
発表者:後藤悠・清野亜美・本郷麻耶・小林和法・今村仁(ポーラ化成工業株式会社)
Valerie Laviolette・Cherie Hutchinson(Jurlique International Pty. Ltd.)
■発表内容概要(補足資料3)
当社グループのオーストラリア発祥ブランドであるジュリーク(Jurlique)では、同じ植物原料から複数の方法で成分を順に抽出し、それらを組み合わせた「多段階抽出混合エキス」を化粧品に配合する手法を伝統的に受け継いできました。しかし、これによって実際に高い効果が得られているのかは解明されずにいました。そこで本研究では、ラベンダーを例に本手法の有効性を科学的に検証しました(図2、補足資料2)。その結果、1種の植物原料から3段階の抽出法で得た異なる成分群を組み合わせることで、皮膚の細胞の機能を包括的に活性化できることが分かりました。さらに単独のエキスにはない新たな機能も見いだされました。さまざまな成分が異なる働きを担うことで幅広い作用を示したのだと考えられます(補足資料3)。
本研究により、植物から得られる成分を余すところなく活用する「多段階抽出法」は、環境への配慮と高い美容効果を両立させる「サステナブルビューティー」の実践として有用であることが示されました。
ポーラ化成工業は本技術を「サステナブルビューティー実現の新しいアプローチ」と位置づけ、今後も多様な植物への応用や成分設計の研究を進めます。

【補足資料1】ジュリークについて


ジュリークは、豊かな大地が広がる南オーストラリア・アデレードで1985年に誕生しました。オーストラリア持続可能農業協会(NASAA)の認定を受けた広大な自社農園を所有し、寒暖差の激しい環境で育った植物と独自の植物活用技術を活かし「自然を贅沢に極めたこだわりの化粧品」を展開。ナチュラル/オーガニックスキンケア市場のパイオニアとして、アジアを中心にグローバルに展開しています。
参考リリース: 「ジュリーク、世界的な認証制度『B Corporation』認証を取得」(2024年2月25日)
【補足資料2】ジュリークで実践するエキス製造の特徴と本研究の方法について
ジュリークにて伝統的に実践されている多段階抽出法およびエキスを混合して配合する方法は、バイオイントリンジック(BIO-INTRINSIC)※1法と呼ばれ、古くからの錬金術の流れをくむジュリーク独自の抽出法です。 本研究はその意義を現代科学で検証しました。
研究では、オーストラリアのジュリーク農場で収穫されたラベンダーから3段階に分けて3種類のエキスを抽出(蒸気蒸留・プロパンジオール抽出・灰化ミネラル抽出)し、得られたエキスそれぞれを単独または混合して皮膚の細胞に加え、その作用を確認しました。細胞に対する作用の確認では、遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメント解析と呼ばれる最新の方法で細胞応答を評価しました。
※1 イントリンジック: 内在的な、本来備わっている(植物そのものが持つ力)

農場

収穫されたエキス原料

バイオイントリンジック法によるエキス製造工程の一部
【補足資料3】主な研究結果について
研究では、オーストラリアのジュリーク農場で収穫されたラベンダーから3段階に分けて3種類のエキスを抽出(蒸気蒸留・プロパンジオール抽出・灰化ミネラル抽出)し、得られたエキスそれぞれを単独または混合して皮膚の細胞に加え、その作用を確認しました。細胞に対する作用の確認では、遺伝子オントロジー(GO)エンリッチメント解析と呼ばれる最新の方法で細胞応答を評価しました。
研究の結果、抽出法の異なるラベンダーエキスは、それぞれ異なる働きを持っていました。さらに細胞の「掃除システム」であるオートファジー※2に着目すると、3つのエキスを組み合わせると、オートファジーの異なる段階が同時に活性化することが判明。さらに、細胞の中で情報を伝えるプロセス※3においては単独のエキスでは確認できなかった全く新しい機能が現れる例が発見されました(図3)。
このことは、1種類の植物から得られた成分を余すところなく利用することで、皮膚の細胞に対する効果も包括的・相互連携的に発揮され、抽出法の異なる成分群を組み合わせることで、1種類の植物が持つ機能を多面的に引き出せる可能性を示します。また、ジュリークが受け継いできた伝統的な実践に科学的意義を裏付ける成果と言えます。

※2 オートファジーとは、細胞が古くなったタンパク質や壊れた部品を分解・再利用し、細胞内の環境を整える自己浄化のしくみ。この機能が低下すると、肌の老化やさまざまなトラブルの原因となる。今回の研究では、3種類のエキスに含まれている成分が協力してこの機能を高めることが確認された。
※3 cAMP代謝プロセスにおける発見。cAMP代謝プロセスとは、細胞の中で情報を伝えるcAMPという物質の量を調整し、細胞の働きをコントロールするしくみ。
【補足資料4】IFSCCについて
IFSCC世界大会は、世界中の化粧品技術者・研究者にとって最も権威のある学会で、最先端の化粧品技術が披露されます。応募論文はIFSCCの厳正な審査を受け、選ばれたものだけに発表が許されます。
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ