マッシュスタイルラボを代表するレディスブランド「スナイデル」が18年秋、大型リブランディングを行う。近藤広幸社長自らスナイデルのプロデューサーに復帰し、ショップのサイン(看板)なども全て新ブランドロゴに切り替えるほどの本気度だ。レディス市場のリーディングブランドが今後どこへ向かうのか、業界の関心は高い。近藤社長にリブランディングの狙いを聞いた。
“ザ・スナイデル” が帰ってくる
――なぜリブランディングに踏み切るのか、そしてどう変わるのか。
海外のストリートでは、人々は単なる流行の真似ではなく自分らしさやスピリットを持って自由に服を着こなし、音楽、スポーツ、アートなどのカルチャーとの関係も深い。私も若い頃から憧れがあった。日本の女性にもそういうファッションを楽しんでほしいと思い、ストリートに日本の女性らしさや品を組み合わせて “ストリート×フォーマル”のコンセプトで05年に作ったのがスナイデルだ。
しかしここ数年はファンに与える新しい刺激が薄れ、ビジネスの面でもさらなる成長には大きなチャレンジが必要と考えた。今回のリブランディングを一言で言えば「よりスナイデルを魅せる」。ド直球のボール、名刺代わりのコレクションだ。やや弱まっていたストリート要素も改めて表現した。5月の展示会はロジックの部分だけでなく、変わろうとする強い気持ちを会場の空気感で伝えられたと思う。
――フェミニンで甘い部分にもファンは多い。それでも原点回帰に挑戦する理由は。
日本をはじめ、アジア全域の女性に対して影響力のあるブランドでいたい。さらにはファッション先進国の女性にも影響を与えたいという夢がある。そのためには前年に対するアップデートにとどまらず、勇気を持ってクリエイティブなことを先取りして提案すべき。待ちではなく攻めの姿勢だ。売り上げだけを第一義に置くブランドにはなりたくない。
女性を美しくすることに加えて、新しい知識やカルチャー、刺激を提供することも大切にしたい。今回、ロックバンド「レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン」と協業したコレクションを発表した。これをきっかけに彼らの音楽を聴いて「こういう格好良いバンドがあったんだ」と知る女性がいたらうれしい。
――ストリートという言葉の印象が強いが、実際はレースのワンピースなども展示会には揃っていた。
ラグジュアリーストリート自体が大きなムーブメントだが、スナイデルは13年前からずっとストリートを掲げてきた。今回はあくまでストリートとフォーマルのバランスを初期に戻すということなので、音楽などストリートから生まれたカルチャーを落とし込んだデザインもあれば、エレガンスや繊細なテクニックが駆使された服ももちろんある。テイストのミックス感も今見ると新鮮だろう。ファンからは「エキサイティングに変化した」という声や「スナイデルらしさが戻ってきた」という声を聞いた。
服を熱く語れる接客を
――百貨店とファッションビルの両方に出店してきたが、商業施設においてどんな存在でありたいか。
常に新しさやワクワクがある情報発信基地だ。それでこそお客様がスナイデルに付き合ってくれるし、館からもスナイデルのショップがないとだめだと思ってもらえるはずだ。店舗数も128店(国内35、海外93)にまで広がり、国内外の商業施設の良い場所に出店できている。これらのショップを訪れるお客様を喜ばせる任務は大きい。協力してくれる人々の笑顔もかかっている。
――リブランディグしたスナイデルを直接伝えるのは店頭で接客するスタッフだ。
従来の接客に加えて、スナイデルが「なぜ」このアイテムを作ったのかという服の “意味” を伝えられることが大切だ。ブランドのアイデンティティーの中から会話のフックを探して提案してほしい。
マッシュグループ全体としてここ5年で国内外に約350店を出したが、この出店スピードについてきてくれたスタッフが数多くいるということでもある。今後は、スナイデル は新しい店装の導入など既存店のリニューアルに力を入れる。スタッフもじっくり自店のお客様との関係を深めて今まで以上に成長していけるはずだ。
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