―様々なシクロデキストリンの足掛かりとなるキーマテリアルー
株式会社ユシロ(本社:東京都大田区,代表取締役社長:有坂 昌規 以下,ユシロ)は、この度、製造設備の強化により、今まで困難としていたβ-シクロデキストリン-6-トシレート(以下、CDTS 図1)の大量合成に成功しました。これにより生産能力は現在の25倍となり、量産化によるコスト削減や安定供給が可能となります。

図1 CDTSの化学構造
β⁻シクロデキストリンとは
β-シクロデキストリン(以下、CD)とは、環状の糖化合物の1種であり、図2に示すような化学構造です。CDは一般的に流通している原材料で、食品や工業利用など幅広く利用されている化合物です。主にトウモロコシを原材料として、CD生成酵素を用いて合成されています。このため、空気中の二酸化炭素を吸収する過程を経て生成されることから、カーボンニュートラルな素材とされています。CDの特徴と活用方法
なお、CDは立体的に円を描くような構造を持ち、中は空洞で、他の化合物を取り込むことができます。特に、環の内側が疎水性で、外側が真逆の親水性であるため、特に水中では、疎水性の化合物を取り込む特徴があります。(図3)
このため、CDは疎水性の臭気成分を取り込むことを利用した消臭剤や、特定の医薬品を体内で運搬するドラッグデリバリーシステムなどで活用されています。

図2 CDの化学構造

図3 CDの環構造の特徴
CDTSとは
この度、量産に成功したCDTSは、CDの狭い穴に沿う7つのOH基(ヒドロキシ基)の1つが、トシル基と呼ばれる化学反応しやすい官能基に置換されたCD誘導体です。(図1)ユシロは、2016年からCD誘導体の合成について研究を進め、最適な合成手法の開発を行って参りました。その後、自社工場での内製化を経て、この度CDTSの純度90%以上となる高純度のCDTSの量産化を可能としました。
【自社製品への適用】
CDTSをキーマテリアルとして、トシル基を起点とした化学変換(複数の合成操作)により、容易に高分子(ポリマー)の化学構造に組み込みやすい、β-シクロデキストリン-6-アクリルアミド(以下、CDAA 図4)を合成し、ました。現在に至っては切断傷に対応した自己修復性をもつ素材、「ウィザードゲル(R)」に利用しています。

図4 CDAAの化学構造
ユシロでは、ウィザードゲル(R)の素となるCDAAを含む水溶液の製品、「ウィザードゲル GM-0001」という製剤を販売しています。
国内の研究機関や企業においては、この製品を活用し、社会実装に向けた研究開発が進められています。

図5 CDTSを経て合成したCDAAを含むウィザードゲルの製品形態
今後の展望
この度、大量合成に成功したCDTSは、トシル基部位を化学反応により多様な官能基へ変換可能なCD誘導体です。そのため、各種CD誘導体の設計・開発に幅広くご活用いただけます。例えば、CDを高分子(ポリマー)材料へ組み込むことで、物性値の向上や自己修復性の付与などが可能となることが、ウィザードゲルの事例からも示されています。これにより、材料の高強度化・長寿命化といったニーズに応えることができます。また本技術は、国連が提唱する持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の理念にも合致し、地球上の限りある資源を有効活用する技術として社会に貢献できるものと考えております。
今後ユシロは、新たな材料開発を目指す企業に向けて、CDTSをはじめとするCD誘導体関連製品を積極的に展開してまいります。さらに、CDが現用されている食品分野や各種工業用途においても、量産化によるコスト低減や安定供給の観点での貢献が可能と考えております。
お問い合わせ
株式会社ユシロ イノベーション推進部
電話:03-3750-3100
問い合わせURL :https://www.yushiro.co.jp/contact/wizard#anchor01
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