「慎重」な日本の消費者を動かすAI活用の条件とは
世界14ヵ国にオフィスを構えるグローバル市場調査会社ミンテル(Mintel)は、2026年1月16日(金)、COSME Week 東京において、同社ビューティ&パーソナルケア部門アソシエイトディレクターのChayapat Ratchatawipasanan(チャヤパット・ラッチャタウィパサナン)が、「AIが美容・化粧品業界に与える影響の考察:世界と日本における今後の動向」と題した講演を行ったことをお知らせします。
世界および日本市場におけるAI活用の最新事例や消費者意識の変化をもとに、AIが今後の美容業界にもたらす機会と課題を多角的に解説し、企業が今後取るべき戦略について示唆しました。

東京ビッグサイト:講演会場の様子

講演資料のダウンロードはこちら:https://www.mintel.com/jp/jan-2026-cosme-week-presentation
1.AIがもたらす美容業界の変革:世界と日本の現在地
ミンテルの最新分析によると、美容業界におけるAI活用はこれまでの「ARフィルターなどの体験型ソリューション」から、生産効率、成分探索、診断技術などバックエンド領域の高度化へと重心が移りつつあります。

講演者:Chayapat Ratchatawipasanan(チャヤパット・ラッチャタウィパサナン)
1.世界のトレンド:AI活用が実用フェーズへ
- AIによる新成分探索(例:Revela のAI分子探索)
- AI香りアドバイザー(例:Jo Malone London × Google)
- 生成AIによる処方開発の革新、製品開発の最適化など(例:L’Oreal × NVIDIA )
2.日本市場の特徴:技術開発力は高いものの“消費者の慎重な姿勢”が顕著
日本におけるAIの活用について、チャヤパットは次のように述べました。
「日本はAI関連特許の出願数で世界上位に位置するなど、高い技術開発力を有しています。一方で、消費者は新技術の導入に対して慎重な姿勢を示す傾向があります。」

各質問に対する各国の消費者の回答割合
「ミンテルが36市場で実施した調査では、『新しい技術をいち早く試したい』と回答した割合は、中国が72%だったのに対し、日本は18%にとどまりました。一方、『最新のニュースや出来事を常に把握していたい』という回答は日本でも49%に達しており、情報収集意欲は高いことが分かっています。」
「別の調査では日本の消費者は、『自ら時短の工夫やライフハックなどの解決策を探し求めることは少ない』一方で、『生活の質(QOL)向上につながる利便性や明確な価値』が示されれば、そういったものを受け入れて投資する、という傾向が見えます。この割合は近年に限定すると、アジア圏の他の国と比較しても、日本は高い水準にあります。」
上記を踏まえ、チャヤパットは技術力の高い日本企業のとるべきAI活用戦略を次のように示唆しました。
「グローバル展開を目指す日本企業にとっては、東南アジア、特にタイのような新技術の受容度が高い市場を開拓することが、AIビジネスの先駆者となる有効な戦略となります。現地の消費者は日常生活の質を高めるためにテクノロジーの導入に積極的である一方、現地企業は高度な技術力を十分に備えていない場合が多く、日本ブランドがAI搭載製品を先行投入する絶好の機会となっています。 」
「さらに、こうしたグローバル展開を通じて海外で成功事例や実績を積み重ねることで、その評価や信頼を“逆輸入”し、日本市場でのブランド価値向上につなげることが可能です。海外での成功体験は、慎重な日本の消費者を動かす最も強力な後押しとなります。」
2.AI時代のビューティジャーニー:信頼・透明性・インクルーシビティが鍵に
講演ではAI進化に伴う消費者意識の変化として、以下のポイントが示されました。

ミンテルの調査によると、AIに対する以下のような消費者意識が読み取れます。
- 信頼性への懸念:58%のドイツの成人が「AIの進歩により、オンライン情報の信頼が揺らぐ」と回答
- プライバシー保護への不安:中国では38%の消費者がAI搭載の電子製品の使用において個人情報漏えいを懸念
- 情報開示への要求:日本では成人の37%が「AI生成コンテンツの明示」を求める
人々は「AIは便利だけれども、信頼性や透明性の面で様々な懸念がある」と感じています。
これらを踏まえ、企業の行うAI活用においては消費者の理解を得るために「1.透明性の確保、2.倫理的AIの運用、3.人間の専門性との共存」が不可欠であるとチャヤパットは強調しました。
3.日本市場でのAI活用の機会:大きな“ホワイトスペース”
日本においてミンテルが行った調査で、「様々な分野でのAI導入に対する期待と不安」を尋ねると、ファッション・ビューティ分野では67%がAI活用に「どちらとも言えない」と回答しました。
この結果は懸念よりも「価値がまだ見えていない」状態を示しており、企業にとっては大きなホワイトスペースが存在します。

特に有望な領域として:
- 肌・健康データに基づくハイパーパーソナライズ
- 男性向け・多様な肌色向けソリューション
- AI × 香りの感情分析
- AI × バイオテックによる成分開発・サステナブル素材
などが挙げられました。
また、チャヤパットは企業のAI活用について次のように述べました。
「AIの活用は人々の雇用を奪うものではなく、よりクリエイティブな業務に注力するためのツールです。そういったAIを活用した企業活動は、消費者によりメリットを生むものとなるでしょう。」
4.Mintel Spark:AIが創る“次のイノベーション”を支援
講演では、新商品開発の初期段階を支援するミンテルのAIツール「Mintel Spark」も紹介しました。
- 膨大なミンテルデータから瞬時に新商品コンセプトを生成
- ビジュアル案やコンセプトの微調整も可能
- 消費者嗜好・市場トレンド・製品イノベーションを統合し、実現性の高いアイデア創出をサポート

Mintel Sparkについてはこちら:https://www.mintel.com/jp/products/spark-concept-generator/
Mintel Sparkは、「AI時代の製品開発における強力なパートナー」として注目されています。
5.講演を終えて
本講演では、AIが美容業界にもたらす変革が「一過性のトレンド」ではなく、消費者理解・処方開発・体験価値向上を包括的に進化させる構造変革であることを強調しました。
ミンテルは今後も世界と日本市場の最新インサイトを提供し、企業のイノベーション推進を支援してまいります。
■株式会社Mintel Japan(ミンテルジャパン)
ミンテルジャパンは、ロンドンに本社を置く大手市場調査会社「Mintel Group」の日本法人です。専門分野のアナリストと新商品の調査員を世界各国に配置し、独自の消費者調査や新商品情報の収集を行っております。
その独自のデータを基にした消費財業界のグローバルトレンドと市場変化の予測に強みがあります。日本では主に「美容・化粧品」「食品・飲料」「ライフスタイル」の3分野に注力し、サービスを展開しています。

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