クラシエ独自成分「リポソーム発酵ドリップ(TM)」を新開発 ~発酵の恵みを肌の深部へ届ける浸透技術~

2026/06/01 (2026/06/01更新)

クラシエ(株)(ホームプロダクツカンパニー)


クラシエ(株)(ホームプロダクツカンパニー)
~2種の発酵成分を内包した多層リポソーム~

 クラシエ株式会社(ホームプロダクツカンパニー)は、“一時的な潤い感”で終わらない保湿ケアを目指し、2種の発酵成分を多層リポソームに内包した独自開発成分「リポソーム発酵ドリップ(TM)」を開発しました。これにより、発酵成分の機能を最大限に引き出す新しい浸透アプローチを確立し、うるおいに満ちた肌へ導くスキンケア製品への応用を実現しました。

1.背景・目的:水溶性発酵成分の肌への浸透における課題
 近年、発酵成分はスキンケア分野において非常に高い注目を集めています。発酵の過程で生成される、アミノ酸やペプチド、有機酸などの多様な成分は、肌のうるおい環境を整える有用な素材として期待されています。一方で、発酵成分は「水溶性の多成分系」という性質を持つため、その機能を安定的に保持しつつ、効率よく肌へ届けることが課題でした。
 そこで当社は、リポソーム技術に着目しました。リポソームは、リン脂質からなる非常に小さなカプセル状の構造体で、水溶性成分をリポソーム内部に保持しつつ肌へ届けることができます。もとは医療分野で研究が進められてきましたが、近年では化粧品業界でも、成分を効率よく届ける技術として注目されています。本研究では、このリポソームの内部に発酵成分を封入することで、成分を保持しつつ肌(角層)への浸透を高めることを目指しました。

2.2種の発酵成分の選定と「多層リポソーム」設計・構造検証
 まず、複数の発酵素材を比較検討した結果、保湿効果との親和性およびリポソームへの封入適性に優れた、麹菌で発酵させた「米麹抽出液」と乳酸菌で発酵させた「豆乳発酵液」の2種の発酵成分を選定しました。
 これら2種の発酵成分について「多層リポソーム」の内部に封入し、独自成分として構築しました。多層リポソームは、リン脂質から成る脂質二重膜が層状に重なったカプセル構造であり、その内部に水溶性成分を保持することができます。角層へ浸透した後、外側のリン脂質膜が角層内でなじむことで、内包された成分が徐々に放出されると考えられます。この多層リポソームを採用することで、「発酵成分の安定化」、「角層への浸透性向上」、「うるおいの持続性向上」の全てを両立した独自成分を実現し、「リポソーム発酵ドリップ(TM)」と命名しました。

 次に、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて構造を検証しました(図1)。その結果、粒径約100 nmの多層リポソーム構造が形成されていることを確認しました。これにより、水溶性である発酵成分が、多層構造の内部空間に安定的に保持できていることが示唆されました。

(図1) 発酵成分を内包した多層リポソームの透過型電子顕微鏡写真とイメージ図


3.ラマン分光法による浸透挙動の評価 
 設計した多層リポソームの角層への浸透挙動を評価するため、ラマン分光法による深さ方向分析を実施しました。その結果、1%多層リポソーム塗布後の皮膚では、角層内において深さ方向のラマンシグナル変化が確認され、本リポソームが角層内へ作用している可能性が示唆されました(図2)。

(図2) ラマン分光による深さ方向プロファイル

 さらに、0.1%条件においても、1%条件と同様のラマンシグナル変化が認められ、低濃度でも同様の浸透挙動を示すことが示唆されました。生体膜と親和性の高いリン脂質をベースに設計した「リポソーム発酵ドリップ(TM)」は、浸透しにくかった水溶性の発酵成分を角層へ届ける有効な手段であると考えられます。

4.肌への効果の確認
 20~60代の健康な日本人女性を対象に、単回使用による肌効果の比較試験を実施しました。

 はじめに、発酵成分単独塗布と、「リポソーム発酵ドリップ(TM)」を塗布した条件において、角層水分量変化率を測定したところ、「リポソーム発酵ドリップ(TM)」を塗布したほうが、角層水分量が有意に高くなることを確認しました(図3)。

(図3) 角層水分量の変化率

 また、同条件で角層水分蒸散量(TEWL)を測定したところ、「リポソーム発酵ドリップ(TM)」塗布条件ではTEWLの有意な低下が認められ、角層バリア機能のサポート効果が示されました(図4)。 

(図4) 角層水分蒸散量(TEWL)の変化率

 さらに、「リポソーム発酵ドリップ(TM)」を配合したスキンケア製剤を用いて、塗布20分後の肌を評価したところ、塗布前と比較して角層水分量の有意な上昇と、TEWLの有意な低下が認められました(図5)。

(図5) 製剤使用後の角層水分量の変化率(左)と角層水分蒸散量(TEWL)の変化率(右)

 これらの結果は、発酵成分を多層リポソームへ内包したことで角層への浸透効率が向上し、高い保湿効果が発揮されたことに加え、リン脂質自体のバリア機能サポート効果が働いたためと考えられます。


5.まとめ
本研究により、浸透が困難であった水溶性の発酵成分を多層リポソームへ内包することで、その特性を生かして安定的かつ効率的に角層へ届ける新たなスキンケアアプローチを確立しました。

(1)選定した2種の発酵成分「米麹抽出液」と「豆乳発酵液」とを、約100 nmの多層リポソーム内部へ同時封入した独自成分「リポソーム発酵ドリップ(TM)」を開発しました。
(2)「リポソーム発酵ドリップ(TM)」は、ラマン分光法により低濃度においても角層浸透挙動を確認しました。
(3)ヒト試験において、「リポソーム発酵ドリップ(TM)」は、発酵成分単独塗布と比較して、角層水分量増加およびバリア機能サポート効果を示しました。
(4)「リポソーム発酵ドリップ(TM)」を配合したスキンケア製剤においても、同様に優れたうるおい効果と肌のバリア機能へのサポート効果を確認しました。

今回の研究成果については、2026年秋発売のスキンケア製品に応用する予定です。

                                   以  上

企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ