ヒアルロン酸を活用、高バリア機能と弾力性を両立する新技術
ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業株式会社(本社:神奈川県横浜市、社長:片桐崇行)は、肌の角層細胞間脂質に近い構造を持つ「αゲル製剤」を、界面活性剤を一切使用せずに作り上げることに成功しました。この技術により、うるおい保持力の高いスキンケアクリームが実現できます。
敏感肌の方に安心を届けるために界面活性剤を使わないαゲルの実現を目指す
現代社会では、不規則な生活やストレス、乾燥、花粉、大気汚染などを背景に、敏感肌を自覚する人が増えています。肌表面の角層に存在する細胞間脂質はバリア機能や水分保持に役立っていますが、敏感肌ではバリア機能が低下し、トラブルが生じやすい状態にあります。これらのことから、角層細胞間脂質(図1左、補足資料1A)と似た構造で、バリア機能や保水力に優れる「αゲル製剤(図1右、補足資料1B)」が敏感肌の悩みを和らげるために用いられてきました。
しかし、従来型のαゲル製剤は界面活性剤(※1)を必要とします。界面活性剤は敏感肌の方にとって刺激感につながる可能性があり、課題となっていました。そこでポーラ化成工業では、敏感肌の方にも配慮した高機能製剤を実現するため、界面活性剤を使わずにαゲル製剤を作り上げるという課題に挑戦しました。
※1 水になじむ部分と油になじむ部分を合わせ持つ化合物で、乳化に役立つ
ヒアルロン酸誘導体の乳化力と至適な基剤構成によりαゲル化に成功
本研究に用いたのは、水分の保持に優れた生体成分ヒアルロン酸を改良した水溶性保湿剤(※2)で、弱いながら油になじむ性質を付与した誘導体です。このヒアルロン酸誘導体の油になじむ特性を、処方の工夫により最大限に引き出し、さらに最適な基剤を組み合わせることで、従来の界面活性剤を使うことなくαゲル構造を持つクリームタイプの製剤(図2)を開発することに成功しました。※2 加水分解ヒアルロン酸アルキル(C12-13)グリセリル

新製剤の保湿性能およびハリ実感
新しく開発したヒアルロン酸αゲルクリームのバリア機能を調べるため水分蒸散を抑制する働きを評価したところ、従来のαゲルクリームと比べても、閉塞性の高いオイルベースタイプのクリームに比べても優れていることが確認できました。また、αゲルは高い弾力を持つことから肌に塗って弾力を計測したところ、塗布前に比べて高まることが分かりました(補足資料2)。専門評価者による使用感評価においても、実際に高い保湿の持続力やハリ感が高く評価され(補足資料3) 、このことからバリア機能においてもハリ実感においても、新ヒアルロン酸αゲルクリーム製剤は優れた性能を備えていると言えます(図3)。
ポーラ化成工業では、今後も機能に優れ、お客様満足度の高い新技術の開発を行っていきます。
【補足資料1】 細胞間脂質とαゲル製剤について
A. 細胞間脂質について
肌の最外層にある角層は、角層細胞と、その隙間を埋める細胞間脂質で構成されています。細胞間脂質は皮膚内部からの水分の蒸発を防いだり外部からの刺激物質の侵入を防いだりするバリア機能や、うるおいをキープする保水構造を持ち、皮膚を守っています(図4)。
細胞間脂質は、水にも油にもなじむセラミドなどが規則正しく交互に重なった層状の膜構造(ラメラ構造)をしており、この層状の構造がバリア機能と保水機能を発揮するために重要と考えられています。

B. αゲル製剤について
αゲルとは、ラメラ構造を人工的に再現したゲル状の乳化物(図5)で、従来から高粘度のクリーム状化粧品を作るために用いられてきました。αゲルを作るには、界面活性剤など、水と油の両方になじみやすい性質を持つ特定の成分を最適なバランスで用いることが必要です。それらの成分が規則正しく層状に並んだラメラ構造は水や油をたくさん抱えることができるため、肌へのなじみが良く、保水性や弾力に富んだクリームを作ることができます。αゲル製剤は、リッチでクリーミーな使用感に加え、その構造から得られる優れた保水性を利点として、広く活用されてきました。

【補足資料2】新開発したヒアルロン酸αゲルクリーム製剤のバリア機能と弾力性
■バリア機能
製剤のバリア機能を調べるため、水分蒸散を抑制する機能を評価しました。従来の製剤よりも当該能が優れていることが確認されました(図6)。従来のαゲルクリームと比べても、閉塞性の高いオイルベースタイプのクリームに比べても優れていることが確認できました。

■弾力性
さらに、ヒト肌を用いて塗布前後の肌の弾力を測定したところ、塗布に伴い有意に高まることが確認されました(図7)。これは新開発したヒアルロン酸αゲルが持つ弾力が反映された結果だと考えられます。

【補足資料3】 新製剤の優れた使用感
専門評価者による使用感の官能評価において、保湿の持続力、使用直後/翌日のハリ感いずれも高い評価でした(図8)。
これらの結果から、新たに開発したヒアルロン酸αゲルクリームは多くの方に保湿感・ハリ感でご満足いただけると期待できます。

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