ヒロタが13年春に立ち上げたレディスブランド「ザ・ヴァージニア」。30代女性をターゲットに大人ラグジュアリーをコンセプトにしてきたが、ブランドの軸がぶれて、不振だった時期があった。そこで、17年春夏商品からブランドの原点を再確認して、リニューアル。18年から売り上げが復調し、19年以降も好調を維持している。
デザイナーによるスタイリングMD
ブランド新設当時は、「色遊び」「ラグジュアリー」「ビンテージ感」の三つのキーワードを企画と物作りのベースにしてきた。しかし、出店環境の影響を受け、テイストがコンサバ寄りになり、デザインより機能重視の商品が増えるようになっていった。「ブランドのらしさが失われて、顧客離れを招いていた」とMD担当の坂芳典さんは振り返る。
17年春からリブランディングに着手。まず原点である三つのキーワードを再確認。メーンスタイリングをシーズンごとにデザイナーが設定して、そこから単品を企画するスタイリングMDに変えた。クロスコーデが主流の流れも加味し、オンオフ使えるデザインも充実した。プライスも見直した。スタイリング購買を促すのに高品質なトップとボトムの価格はそのままに、手頃な価格のニットやブラウスも揃えて、「セット購買しやすくした」。
18年秋冬から既存店が盛り返してくる。顧客が戻るとともに、新規客も増え始めた。セット率は狙い通り1.3から1.7に向上した。秋冬には美容研究家の神崎恵さんとコラボした花柄ビンテージワンピースとウールガウンコートにもトライし、完売した。
6店ある既存店はアミュプラザ博多店、大丸梅田店、池袋パルコ店を筆頭に売り上げが回復。前年同期比15%増ペースと好調に推移。
20年春コレクションは、ユーティリティなムードをまとった女性らしさを強調。透け感や凹凸、ギンガムチェックなどをハイブリッドしたサテンプリーツスカートとジャケットのコーディネート、ビンテージ感あるマジョリカプリーツ加工したワンピースやシワ感あるワッシャープリーツスカートとダンボールニットパーカなどを合わせる。単品では「ホールガーメント」や透かし柄編み、ミラノリブ、編み地変化のセーターなど表面変化を意識した企画を充実している。
今のレディス市場はブランドが同質化しがち。ザ・ヴァージニアを立ち上げた当時は、新ブランドが相次いでいたが、今は淘汰の時代だ。それでも、「個性を引き出せば、エンドユーザーから選ばれるブランドになることは可能」と坂さんは見ている。
The Virgnia Project(HIROTA)
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