エムファーストのモード系レディスキャリアブランド「トーナル」は、女性のニーズ変化を掴んで商品企画を進化させている。ここ1年で通勤服のカジュアル化が一気に進むなどキャリア市場の潮目の変化を感じ取り、19年春から企画を見直した。こうした商品が実際に顧客からも受け入れられているため、秋もスタイリングやアイテムで新たな提案を打ち出し、ブランドの鮮度を上げる。
ジャケットは新しいバランスで需要喚起
シンプルなノーカラージャケットやタックパンツを得意としてきたが、ここ数年で定番化し、次の提案が求められてきた。ワイドパンツやダブルブレストのジャケットなど、従来はトレンドアイテムという印象のあった服も、仕事着として抵抗無く買う女性も増えた。
そこで19年春夏からカジュアル、トレンド対応を強めた結果、「想定以上に女性の関心が高い。3月の数字も良かった」(眞田隆司トーナル事業部事業部長)と、手応えを得た。
続く19年秋は、今のリラックスムードをシルエットやレイヤードで表現する。ニットのセットアップは共にロング丈にし、シャツワンピースは下にニットパンツを合わせる。トレンドのダブルのジャケットやキュロットも、ブランドらしく取り入れた。
定番アイテムのジャケットは、「従来の形だけだと市場環境は厳しい。先に動いて仕掛けていきたい」と考え、新たに2種類のスタイルを提案する。シャープなロング丈のテーラードジャケットは、あえてワイドパンツと合わせつつ上から細いベルトで締める。ショートパンツなども一緒に提案する。フェミニン派の女性には、フレアスカートとバランスが取りやすい短め丈のジャケットを作った。襟を外してノーカラー仕様にもできる商品で、展示会でも好評だった。「19年春にぐっとブランドの幅を広げ、秋は絞りつつもトレンドと定番をバランス良く表現できたと思う」
ブランドの考え方を販売スタッフと共有
商品の変化に合わせて、店頭での接客にも幅が求められる。本社のデザイナーと販売力の高い店長が話し合い、スタイリングのアイデアを膨らませている。「この組み合わせで売ってほしい」という会社の指示だけでなく、現場が自ら考え、「こうすれば休日も着回せる」など何通りも提案できる力を磨く。
19年秋冬は組織力向上にも力を入れる。「ブランドの方針をより深く理解してもらうには、基本的な考え方をスタッフ間で揃えておくべき」だからだ。具体的には7月から外部の研修に参加し、接客のノウハウに加えてそのベースの思考力を養う。販売経験豊富なスタッフも多いが、昔身につけた自分のやり方ではなく、「トーナルが目指すこと」を理解して行動することが大切だ。皆の目線を揃えた上で、顧客のニーズをよりしっかりと捉えられるようにする。
こうした取り組みを通じて既存店の力量を高めつつ、秋には新たに九州地区に1店出す。将来的には東京都内の駅ビル、ファッションビル中心の出店で20店体制を考えている。
M-First Co.,Ltd. TONAL D.I.V
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