レディスアパレルメーカーのハニークリ―パーは19年7月、設立20周年を迎えた。社名は幸運の象徴、ハチドリを指す。設立当初から継続する海外生産で培ってきた信頼や知識、感度と徹底した物作りで、社員と取引先が互いに幸せになれる事業を追求する。
取引先に合った生産背景と価格訴求
取引先の需要に合わせた生産背景と価格訴求を強みに、OEM(相手先ブランドによる生産)とODM(相手先ブランドによる設計・生産)、アパレルメーカーの別注が大幅に伸長している。設立当初から中国や韓国に生産ルートを持ち、長年築いてきた協力工場との信頼関係のもと、短納期生産を実現してきた。
この数年、「トレンドを押さえた商品を低価格で早く欲しい」という声に対応して定評があるのが韓国生産だ。協力工場との独自の取り組みで、1型100枚からを基準にオーダーを受ける。発注から店頭の納品まで通常は2週間で対応するが、最短は5日でも相談に応じる。週末の売れ筋を週明けの月曜日に同社で受注し、韓国でQR生産をかける。それを空輸し、金曜日に店頭納品できるサイクルを実現する。
今後はバングラデシュ生産を伸ばす。昨秋冬、バングラデシュで企画生産したアクリル100%でゆるめシルエットのニットトップが爆発的にヒットし、ECモールで売り上げ総合1位になった。この実績を手応えに、今秋冬は昨年の3~4倍にあたる22万枚を生産する計画だ。昨秋の台風被害による納期遅れや、バングラデシュでの宗教的な祭事による生産ストップの影響を考慮し、今年は生産体制を早めている。生産量の半分をすでに国内の物流倉庫にストックし、秋の供給に備えている。
〝かわいい〟だけじゃない安心感
技術を持ったデザイナーと品質管理担当を17年に採用し、商品企画力をさらに高めている。企画力が向上し、大手アパレルや高価格帯のブランドとの取り引きも増えている。「色柄やデザインがかわいいといった感度を武器に売れた時代もあったが、今は確かな品質も求められている。安心と安全を提供してメーカーの存在意義を発揮したい」(鈴木辰則社長)。
企画は現在、今年6月に採用したパタンナーを含めた3人体制。技術を持った人材が入社したことで、仕様書の精度が上がり、ファーストサンプルの完成度が高まった。結果、修正の回数を抑えて納期を短縮できるようになった。利益面でもコスト削減につながっている。
新たに採用したパタンナーはグラフィックをおこしたり、サンプルを縫製したりすることもでき、OEMとODMでさらに柔軟な対応ができると見ている。今後はこれまであまりなかったカジュアルなデザインの商品も充実し、提案や取引先の幅を広げる。
社内の物作りを支えるため、一日の業務効率を高め、残業時間を減らす働き方も推進している。「服作りでは様々な場所に行き、体験して刺激をもらうことが大切。その時間を少しでも増やして日々の充実につながれば」という。社員が幸せで、取引先、さらにその先にいる消費者も幸せになる良い循環を構築していきたいとしている。
自社で卸・仕入れサイトを開設
今年1月から、自社で運営する卸・仕入れサイトを開設した。地方専門店や個店のバイヤーが東京に足を運ばずに、24時間どこからでも手軽に発注できる。会員登録は無料。大きな特徴は、購入者に限り、掲載画像をネット上で2次使用できることだ。一つの商品でもモデル着用やディテールを映したものなど複数の画像を用意し、発注先にとっては撮影の手間やコストを省きつつ、商品が届いたらすぐにネットで販売することができる。
新商品を随時アップし、約200品番を掲載している。カタログのように閲覧でき、展示会で見た商品を後日発注するという活用方法もある。現在は既存の取引先にアプローチし、登録数も順調に伸びている。今後は新規の登録を増やしていきたい考えだ。利便性の高い卸・仕入れサイトを生かして事業の効率化を図りながら、感度と確かな物作りで取引先の満足度をさらに高める。
HONEY CREEPER Co.,Ltd.
【TEL】03-5772-2191