読者の声



 繊研新聞を読んで30年くらいかな。ある時から自宅購読するようになった。僕は新聞中毒なんですよ。一般紙も購読していますが、繊研もただ朝読むだけだと頭に入らないから、切り取って保存したり、社内でも読んでいる人はいるけれど、自分が気になった記事はコピーを取って回覧したりしています。

 コレクションの速報は当然読みますけれど、企業の組織改革の狙いとか、今のお客様が本当はこう感じているとか、工場と地方のお店の連携とか、リアルにファッションの商売の現状を伝えている記事が好きですね。1面の「めてみみ」や「私のビジネス日記帳」、3面の「視点」とかコラムも面白いですね。

 僕は何か知りたいことがあると日本でも海外でも直接現場に足を運んじゃう。工場や生地屋さん、展示会と回って、たくさん人に会うといろんなことが分かる。だからなのか、繊研新聞を読むと記者の皆さんが現場に出向いて取材している、足で稼いで原稿を書いているんだって分かる気がする時がある。

 数字やデータで裏付けされた分析報道も大事ですけれど、ファッションってファクトだけで説明しようとすると無理がある。読み手の立場によっては見方が偏っていると感じることもあるかもしれませんが、繊研新聞は取材相手としっかり向き合って書かれた記事が多く、そこに奥深さを感じます。

 コロナ禍でも頑張る地方の専門店や被災地での綿花栽培の話など、決して日本中で起こっている話ではないけれど、読むと勇気が出る記事も載っている。実際にやっている人をちゃんと取材しないと聞けないことを書いている。人となりを感じることができる記事は腑(ふ)に落ちるし、信用できる。

 日本の物作りについての報道も豊富ですが、それを次の世代が継承していくために、日本のファッション産業の価値や魅力を、もっと分かりやすく伝える記事があればと思います。それとファッションと密接な関わりがあるアートやカルチャーについて紹介するコーナーも充実させて欲しいですね。

(繊研新聞本紙23年7月20日付)