読者の声



 繊研新聞を読み始めたのは大学卒業後、大丸百貨店に入社した80年代後半です。もともとファッション好きだったので、当時記者だった織田晃さんのコレクション速報やセミナーを楽しみにしていました。

 90年代前半のミラノ駐在の頃は、スーパーモデルの時代。ファッションは盛り上がっていて、現地の一般紙は1面でファッション記事を掲載していました。繊研の記事も学びが多く、ファッションに対する憧れとともに、ここで頑張りたいというモチベーションになりました。

 00年代に入ってからは、セレクトショップのディレクターとして取材を受け始め、責任も感じるようになりました。他のバイヤーやディレクターの視点に刺激を受け、励みとなり、「また頑張って新しいものを探そう」という気持ちになれました。紙面を通して、ともにファッションを盛り立てていく共犯者という感じもあり、繊研はその媒介者としてつないでくれました。

 新聞は、人々が今、何に興味があるのかを偏らずに知ることができる。今後は紙の新聞を入り口に、電子版で特集記事の総括や編集後記も読んでみたいです。情報が翌日に消えてしまうのはもったいないですから。テーマを深掘りし、記者の言いたいことをもっと読みたいです。

 ファッション業界は課題も多く、疲弊しているけれど、夢のような世界でもあります。繊研新聞は問題解決のためのプラットフォームになってほしい。読む人に夢と希望を抱いてもらうきっかけになるはずです。

(繊研新聞本紙23年7月20日付)