エムファーストのモード系レディスキャリアブランド「トーナル」は19年春夏、30代の都会的な働く女性のための“スタンダードワードローブ”という原点に立ち返る。ベーシックな通勤アイテムを中心に売れ筋を確立してきた一方、ファッションの鮮度が弱まった反省から、仕事で使えるだけでなく旬のおしゃれを楽しめる商品企画を充実。真の意味で現代女性のニーズに応えるブランドとしてブラッシュアップする。
いつ来ても買いたい物が見つかる店に
トーナルは、駅ビル、ファッションビルと百貨店のブリッジになるキャリア服を目指し、独自のポジションを築いてきた。モードで抜け感のあるノーカラージャケット、ブラウス、テーパードのタックパンツなどが人気となり、15年の立ち上げ以降、売上高も毎年2ケタ成長を続けた。
しかし、18~19年秋冬シーズンに初めて売上高が前年実績を割った。売れるアイテムに絞り過ぎた結果、仕事着専用のコンサバな服や同素材のシリーズなど似通った商品が売り場を占めたためだ。こうした商品は人気だが「リピーターが買い足したくなるような新鮮な商品も充実する必要がある。改めて働く女性のオン~オフをトータルで提案する」と眞田隆司ブランド事業本部本部長は話す。
そこでブランド作りを根本から見直し、19年春夏は“駅ビル感度”をしっかり打ち出す。休日にも着られるブラウスやカーディガン、袖を取り外すとジレとしても使えるトレンチコートなど着こなしの幅を広げ、以前に比べて「多くのコーディネートが組めるようになった」。ライダーズジャケットの上にトレンチコートを羽織ったスタイルや、ライムイエローのワントーンコーディネートなど今までにない提案も増やす。デニムパンツやベイカーパンツなどのカジュアルアイテムも作った。
定番商品も変わり続けることが大事
一方、売れ筋のジャケットなどは、「定番であっても、より良くなる方向での変化は必要」。ジャケットはウエストの絞りの位置を変え、ウエストゴムのパンツは平ゴムにすることですっきりとスタイル良く見せる。素材も、とろみのある合繊素材ばかりだと今はかえって古い印象になるため、イージーケアなどの機能性は維持しつつ、天然調やマットな質感などバリエーションを広げて進化させる。
店舗数は現在14店。店を増やすと既存店の人員体制にも影響が出るため、19年はいったん新規出店を控える。スタッフの異動を抑えて店長、サブ店長は必ず社員を配置し、安定的な店舗運営を徹底する。
「お客様に対しても館側に対しても、トーナルが提案すべきなのは今の感度の通勤服。これまで、駅ビル、ファッションビルに来ている女性が買える通勤着の選択肢がほとんど無かった。百貨店ではキャリア売り場の客層が40代、50代に上がるなか、30代が獲得できるブランドとして求められた。自分たちの役割を忘れず、19年を第2のスタートとしたい」と意気込む。
M-First Co.,Ltd. TONAL D.I.V
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