株式会社コーセー(本社:東京都中央区、代表取締役社長:田中 慎二)は、化粧品の学術団体である日本化粧品技術者会(SCCJ)が発行する学術誌である「SCCJ誌」および「ACST誌」(※1)の両方で、2025年度の最優秀論文賞を受賞しました(※2)。これらの研究から、口唇の荒れには見た目だけではわからないタイプがあることと、グローバルな肌に共通して対人印象を高める3つの反射光パターンがあることを発見しました。
(※1)ACST誌(Applied Cosmetic Science and Technology)はSCCJが2025年4月に創刊した英文の学術誌
(※2)日本化粧品技術者会(SCCJ) 優秀論文賞 掲載ページ

SCCJ誌で受賞した外尾恵美(左)、ACST誌で受賞した柿本涼(右)
SCCJ誌 2025年度 最優秀論文賞 受賞論文
●論文タイトル
口唇表面状態の連続観察による荒れ特徴解析
●執筆者
株式会社コーセー 外尾恵美、山野井睦、宇田川史仁
●研究の概要
口唇はバリア機能が低く、荒れやすい部位であり、ケア方法としてはリップクリームの塗布が一般的です。しかし、リップケアに対するユーザー調査をした結果、「リップクリームを塗っても皮むけする」など、改善効果を得られていない層が存在することがわかりました。そこで、口唇の荒れ状態にもいくつかの種類があり、その違いこそがケアの効果実感に差を生んでいるのではないかと仮説を立て、さまざまな口唇の状態や荒れ実感について解析を行いました。延べ141名を対象とした口唇の表面状態の観察から、目視で皮むけなどが確認できる従来の荒れである「状態A」に加えて、皮むけはないものの荒れ実感のある「状態B」が存在することを発見しました(図1)。また、口唇が良好な状態と比較すると、状態Aは水分量が低く表面が硬い傾向にあるのに対し、状態Bは水分量は同等だったものの水分の蒸散量が高いという特徴があることがわかりました。
さらに、日本・中国・米国を対象としたアンケート調査において、「状態A」だけでなく「状態B」に該当する人が一定の割合で存在することが示されました。今回の研究から、口唇の荒れにはタイプがあり、それぞれに対応した製品開発が必要であることが示唆されました。

図1 口唇荒れのタイプ特徴
ACST誌 2025年度 最優秀論文賞 受賞論文
●論文タイトル
Discovery of Global Common Denominators of Skin Reflectance that Enhance Attractive Impressions (魅力的な印象を高める肌の分光反射率における世界的共通因子の発見)
●執筆者
株式会社コーセー 柿本涼、柿沢英美、竹下卓志、小竹山祐輝、五十嵐啓二、増渕祐二
●研究の概要
多様な個性を尊重するグローバルなニーズに応えるため、単に肌の欠点を隠すのではなく、一人ひとりが思い描く魅力的な印象を引き出すことができるファンデーションの開発に取り組みました。着目したのは「分光反射率」という、物体に当たって反射した光がもつ色パターンです。まず、アジア系、コーカシアン、アフリカンアメリカンなどを含む多様な人種の「肌の分光反射率」のデータを独自の手法で統計解析することで、グローバルの肌色を6つのカテゴリーに分類しました。次に、光の色や強さを自在に操作できる「多波長可変実験室」にて、44名のさまざまな肌色をもつ実験参加者にあらゆるパターンの光を照射し、分光反射率と対人印象の関係を調査しました。その結果、グローバルの肌色すべてに共通して対人印象を高める3つの反射光パターンを見出しました。1.「Elegant(上品さ)」や「Clear(透明感)」を引き出す「紫または青」の反射光、2.「Warm(温かさ)」を感じさせる「オレンジまたは赤」の反射光、3.「Lively(生き生きとした)」や「Healthy(健康的)」な印象を与える「青と赤の両方」の反射光です(図2)。さらに、それぞれのパターンを強調するファンデーションを開発し印象評価をしたところ、このパターン通りに対人印象を高められることが確認できました。この成果はお客さまが求める対人印象を叶えるベースメイク商品などへの応用性があります。

図2 グローバルで共通して対人印象を高める3つの反射光パターン
今後の展望
本受賞は当社のメイクアップ製品における技術や研究水準の高さを示すものであり、高品質な商品開発に欠かせない基盤技術となります。今後も科学的な視点に基づいた機能性やお客さまへの新たな価値提供を目指した研究開発を推進していきます。
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