レディスアパレル企業のアルページュは、自社の4ブランド「アプワイザー・リッシェ」「ジャスグリッティー」「リランドチュール」「マイストラーダ」をトータルで扱う「アルページュストーリー」をECサイト、実店舗両方で運営している。ファッション消費が多様化するなかで、顧客にとっての買い方の選択肢を増やせるよう独自のサービスやコンテンツ開発、店舗ツール導入にも取り組んでいる。
頻繁に訪れたくなるECサイトに
同社のEC化率は現在40%弱で、さらにその40%を自社ECのアルページュストーリーが占める。強みは、毎月更新のウェブアルバムなど魅力的なビジュアルのオリジナルコンテンツ。これをファッション雑誌感覚で参考にし、買い物する女性が増えている。2週間の着回しコーディネート企画などが好評という。登場するモデルもどんどん新しい人を発掘して飽きさせない内容にしている。
さらにリアルイベントも絡めて立体的なブランディングを行っている。雑誌社と組んだパーティーでは、ECにも登場するモデルのランウェイショーなどを行い、インスタグラムの「ストーリー」で配信。コアなファンに濃く伝えつつ、SNSを通じてより多くの人に広げる手法だ。新作フェアの開始とも合わせることでECの売り上げが伸びた。インスタグラムにもショッピング機能を導入している。
店舗のアルページュストーリーは、「アルページュを好きな女性が、4ブランドをまとめてリアルに見られる場」と位置づける。「お店で販売員と話して買いたいというお客様も多い」。立地によって人気のブランドが異なるため、店ごとに打ち出す商品を変えている。ブランド単独店との差別化では、限定商品を毎月8~10型投入し人気だ。19年春には未出店エリアに7店舗目を計画している。
販売員の作業負担減らし接客を優先
アルページュストーリーや各ブランドの実店舗では18年から順次、業務用の客注アプリを店頭に導入している。店に買いに来て在庫がない場合、アプリを通じてEC在庫を引き当て自宅に配送する。売り上げはあくまで接客した販売員や商業施設内のものとしてカウントされるため館側からも好評だ。アプリ経由の売り上げは順調に伸びており、19年は全社の売上高の5%分のプラスオン効果を狙う。販売員のアプリに対する習熟度やEC在庫状況の把握が数字を左右するとみて、教育にも力を入れている。アプリ自体の機能もさらに改善していきたいという。
客注アプリの効果は販売機会ロスの削減にとどまらない。「11月の決済が500件。それだけの客注電話や発送、荷受けなどの作業が無くなったということ。『楽になった』という声は多い」。彼女たちが接客に集中できる環境を作ることは、結局は顧客満足につながる。
ECや店舗のさまざまな施策の根底にあるのも、「お客様がいつどこで買いたいかの選択肢を広げること」。今後も、より快適で付加価値の高いブランド体験を提供したい考えだ。
ARPEGE Co.,Ltd.
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