量販店のイズミ(広島市)が昨年10月にオープンしたオープンモール形式の大型NSC(近隣型SC)「ゆめモール西条」(広島県東広島市)は、開業から約半年が経過し、「予想以上に広域からの集客」(石元克典店長)を見せている。近隣の既存店と店舗内容を差別化したことで、若い世代の来店も目立っている。
広島エリアで初出店となったゆめモール西条は、13年の「ゆめモール下関」(山口県下関市)、14年の「ゆめモール柳川」(福岡県柳川市)、15年の「ゆめモール筑後」(福岡県筑後市)に続く、ゆめモール業態4店目。同社では25年度にも「ゆめモール那珂川」(福岡県那珂川市)を計画している。
駐車場を店舗で囲む
ゆめモール西条は約9万6700平方メートルという敷地に、駐車場を中心に直営の食品スーパーやホームセンター、レストラン、家電量販店、アパレルショップなど、多彩な専門店を囲むように配置した。総店舗面積は2万9300平方メートルで、駐車は1480台。投資額は43億円。
専門店は東広島エリア初出店16店を含む29店を揃え、「ここでしか体験できない、こだわりの飲食・アミューズメントなど家族や友人と一緒でも一人でも楽しめる心地良い時間」を提供する。中国地方初出店として、衣料雑貨・カフェ「ドットエスティ」、アミューズメント「APINA」などが出店した。
アダストリアのドットエスティは、オープンモールに出店した初のOMO(オンラインとオフラインの融合)型店舗で、カフェも初めて併設した。ライフスタイル業態「ラコレ」の生活雑貨コーナーも取り入れ、店舗面積約1320平方メートルと同業態最大規模で、マルチカテゴリーの魅力を打ち出す。
ゆめモール西条の開業後の出足は順調で、テナント各社も概ね当初予算を上回っているようだ。「スターバックス」を始めとした飲食店の立ち上がりが良く、ドットエスティや生活雑貨「ハンプティーダンプティー」も好スタートを切っている。
30代向けを意識
車で5分ほどの至近距離に既存店のGMS(総合小売業)「ゆめタウン東広島」があることから、ゆめモール西条のターゲット層は「GMSより20歳若い30代」と設定し、施設開発を進めた。既存店と年代を分けた店舗内容としたこともあり、ゆめタウン東広島にも余り影響は出ていないという。
来店客は当初予想よりも広域からの集客ができ、西側は広島市内や呉、東側は三原にまでに及ぶ。一方で近隣からの集客は予想よりも少ない状況。来店手段は95%が車で、その他が自転車やバイク。近隣には二つの大学があり、若い世代が増えている人口増加地域でもある。
敷地内には4月27日、鳥取県に次ぐ中国地方2店目となる「#ワークマン女子」が開店し、話題を集めた。同日に「イエローハット」、4月29日には住宅展示場もオープン。今秋にはフィットネスクラブも開設する。周辺ではマンションも建設される予定で、今後も週末を中心に広域からの集客力を維持しつつ、近隣からの平日の集客にも力を入れていく。
(繊研新聞本紙23年5月10日付)