業界の常識は世間の非常識(五十君花実)

2016/12/14 00:00 更新


Medium %e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%83%e3%83%97%e3%83%9c%e3%83%bc%e3%83%8905

早くも師走の半ばですが,皆さまお元気ですか。

台湾での美食の日々は前回のブログに書いた通りですが、その後もなんだかんだで美味しいものをいただく機会が多く、順調に肥えております。

冒頭の写真は、忘年会で訪れた人形町の名店・山葵の生牡蠣!断トツで今冬ナンバーワン生牡蠣でございました。

 
↑こちらはある日の小笠原さん(上司)ちの食卓。相変わらずこの家のごはんはフォトジェニック!

↑こちらはある日の輝美さん(ファッションディレクターさん)ちの食卓。神楽坂ますだ屋と人形町日山の肉の競演によるすき焼きが美味しくないわけないじゃないか!
 ↑こちらはある日の古瀬井藤家(おうちがご近所な業界人夫婦)の食卓。カラスミパスタで通風まっしぐら!この家の食器は写真のやつ以外もほぼアスティエだということを特記しておきます。

 

といった美味しい話は置いといて、ここからが今日の本題です。

既に1週間以上前の話で恐縮ですが、12月5日付けの繊研新聞1面に、「業界の常識に従っていたらダメ ファッションビジネス、次の一手はどこに」という仰々しいタイトルの記事を書いております。

ご存知の通り、ここ最近のファッション・小売り業界はというと、海外観光客を失った百貨店が不振、大手アパレルも引き続き不振、大手セレクトも不振、巨艦SPAも不振と、売れてるところが軒並み見当たらない状況です。

(嘘です。実は売れているところはちゃ~んとあるんですよ。ピンポイントだし、↑に挙げた企業と規模感は異なるのですが、青山のエッジーなセレクトショップ、アデライデさんは今秋冬も売れてます。アデライデの深イイ話はまた次回!)

厳しい市況を反映して、日経ビジネスさんが10月3日号で「買いたい服がない」特集をやっていらっしゃったことは記憶に新しいですね。

あの特集は興味深く拝読したのですが、最近の日経本紙や日経MJの記事は、「アパレル=オワコン」的な色合いを必要以上に強調している印象を受けます。私の被害妄想かしら。

「そこで働く生身の人間がいるということを置き去りにしているような感じで、サガるわよね~」と、今日ちょうど社内で話したりしておりました。

業界が置かれいる厳しい現状を冷静に受け止め、課題を解決していくことは勿論必須です。

しかし、どんな事柄であれ、一旦うまくいかなくなると、思考がどんどん内へ内へ向かい、ドツボにはまっていくもの。

ファッション業界は、今まさにそういった負の連鎖の中にはまっているような気がしてなりません。

目先の課題解決に追われて、近視眼的なマイナス循環に陥ってしまっているというのが現状であるならば、今必要なのは広い視野から見つけ出すブレイクスルーなんじゃないかと。

というわけで、そうしたブレイクスルーを探すために、ここ最近の個人的な取材テーマとして掲げているのが、「業界の常識、世間の非常識」というものです。

これまでの業界内の外にあるもの、むしろ非常識と思われてきたことに、現状の負の連鎖を断ち切るカギはあるのではないかと。

そうした思いから書いたのが、12月5日付けの記事でした。

ウェブに記事があがってないのがもどかしいんですが、具体的には、バロックジャパンリミテッドさんと、希船工房さんの事例で記事を構成しております。

バロックは11月1日に東証一部に上場しましたが、その際のインタビューで村井社長が口を酸っぱくしておっしゃっていたのが、「ファッションをビジネスにしているからこそ、ファッションだけを見ているようではダメ」ということです。

「日本のファッション業界が苦戦しているのは、ファッション業界の人しか業界内にいないから。みんなが業界の常識に従って、業界のトレンドを追っているから同質化につながる。それで共倒れになる。業界から離れたところにいる方がクリエイティブな物作りができる」という村井社長の言葉は、社長自身が異業種出身(キヤノンを経て日本エアシステム=現日本航空、そしてバロックの前身であるフェイクデリックへという異色の経歴。意外じゃないですか?)であるからこそ、心に響きます。

ファッション業界しか知らない私では、視点がミクロになり過ぎて全く見えていないものが、村井社長には見えているのかもな~と思った次第です。

もう一つの事例としてあげた希船工房は、芸能事務所のアミューズと、セレクトショップで人気の「ミュベール」等を手掛けてきたルールパートナーズという会社が共同出資で立ち上げた企業です。 

希船はアミューズと組んでいるがゆえに、ファッションにエンターテイメントの視点が掛け合わさってきて、それが面白いんです。

一般的に言われていることとして、異業種協業は業界内の凝り固まった常識を打破するのに効果的な手法です。

それゆえ、最近はファッション×○○(食とかITとか)みたいな取り組みがよくニュースになりますが、希船のようなファッション×エンタメの協業って、すごく近い業種同士なのにガッチリ組んでる例が意外とあまり浮かばないんですよね。

話はちょっと飛ぶんですが、服の売れない今秋冬でも、石原さとみちゃんのドラマ「校閲ガール」や、ガッキーの「逃げ恥」で衣装に使われた服は、比較的尖ったデザインでも売れていました。

これが今話題の「さとみ売れ」ってやつです。

ドラマの衣装を検索して、そこからECに飛ぶサイトが増えたり(弊紙でも何度か取材している「コレカウ」さんとか)、SNS上で「あれはどこの服?」みたいなやり取りができるようになったりしたことで、「ドラマで服を買う」という行為がぐっとやりやすくなったんだと思う。

このように、改めてファッションとエンタメの相性の良さを感じている今だからこそ、組み立て方次第で、希船にはこれまで思ってもみなかったような可能性があるのかもな~と感じたりしています。

というわけで、常識に捉われないブレイクスルーさえ見つけ出せば、ファッションって、決してオワコンなビジネスじゃないし、今後も楽しくサバイブしていく方法はいくらでもあると思うんですよ。まだそれが発見されてないってだけで。

バロックと希船の両社が、具体的にどんなことをして新しいビジネスを作ろうとしているのかは、5日付けの紙面をお読みくださいませ。

最後に。

12月8日と9日の両日、浅草で開かれていたレザーの展示会「東京レザーフェア」のトークイベントに出させていただきました。

レザーフェア内のプログラムの一環として、東京の注目ブランド「ミキオサカベ」が、レザー関連企業とコラボして作ったアイテムでショーをしたので、それを受けてのトークショーだったんですが、ショーに出てきたアイテムが「えっ、レザーでこんなことしちゃうの?」「レザーってこんなこともできちゃうの??」という驚きのあるアイテムばかりだったんです。

 

トークショーでご一緒させていただいたデザイナーの坂部三樹郎さん、伊勢丹解放区バイヤーの寺澤真理さんと記念写真。ショーもトークもとても面白かったんですが、お弁当食べながらみんなで話したオカルト(?)話もすんごい面白かった。

 

そもそもレザーって、一般的には秋冬の素材と思われがちですけど、今回のショーは春夏物ですから、そこからしてまず常識を覆してくるわけです。

薄~くなめしたシャツがあったり、細かくプリーツ加工がかかったものがあったり、レザーなのに洗えるものがあったりと、非常に新鮮でした。

トークショーで話した内容の一つは、「デザイナーとレザーメーカーが意見をぶつけ合って、お互いの常識を飛び越えることができたから、新しいクリエイションにつながったね」といったものです。

ここでもまた、「業界の常識という壁を飛び越える」ことが重要だな~と思った次第でした。

長くなりましたが本日は以上!!



五十君花実 特技=ミーハーな記者・五十君がお届けする業界のよもやま話。パリコレから東コレ、ストリート、地方のおもしろショップまで、ニュースあるところに五十君あり!!…というスタンスが理想です

関連キーワードレポートプラス


Bnr counter agreement
Bnr denshiban

この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事

Btn gotop