売れない時代に売れる企業の共通点(五十君花実)

2016/07/16 00:00 更新


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重衣料不振に苦しんだ15~16年秋冬に続き、16年春夏も好調とは言い難かったファッション業界ですが、バロックジャパンリミテッド※1とベイクルーズグループのラクラス※2は、その中でも健闘しているといっていい企業だと思います。

※1 代表ブランドは「マウジー」「エンフォルド」など。中国販売も好調

※2 代表ブランドは「ドゥーズィエムクラス」「アパルトモン」など。ラクラスについてはこういうブログも書いてるので読んでね☆

具体的な両社の売り上げ前年比の数字などは、この間の繊研新聞報道をご覧くださいませ~~。

企業としての規模感が違うので、単純にこの2社を比較してどうこう言うことはできないんですけど、ただ、「この2社には共通点があるな~」と、わたくし常々取材をしながら思っておりまして。 

好調2社の共通点、それは何かと言いますと、ずばり「チャレンジする&させる土壌があること」

具体的な例を挙げて話していきますと、

バロックは14年2月に人事組織の制度を変えて、販売員さんがエリアの中でブランドを異動しながら、自分の頑張り次第でどんどん次のポジションに進んでいけるように会社の仕組みを変えています。

以前はブランド間の異動がなかったので、店舗数の少ない地方店の場合、いくら才能のある販売員さんでも、上に優秀な店長がいる場合などはなかなかステップアップできなかったんですね。

それによって、販売の仕事を好きで始めたけれど、やり甲斐を感じ続けられなくて辞める、というケースが少なくなかった。

それを制度的に改めたということです。

この改変によって、「上のポジションに行けるチャンスが増えて、仕事に対してモチベーションの高い販売員が増えた」とのこと。

業界として、販売員の不足は深刻な課題ですので、これってすごく意義深い取り組みです。

この話は、16年2月23日付けの本紙で詳報しておりますので、更に深く知りたい方はそちらをお読みくださいませ~。

上記の販売員の制度だけでなく、バロックは全般的にやる気のある若い人をフックアップする風土がある企業だな~と取材をしていて感じます。

たとえば、同社は16年春夏から、「リムアーク」というブランドをECでスタートしているんですが、その立ち上げの経緯が面白い。

 


画像はリムアークのオフィシャルサイトより


同ブランドのディレクターを務めているのは、元々シェルターの販売員だった中村真里さん(いま25歳か26歳)。 

彼女は、バロック社内で開催した動画の再生回数を競う企画、その名も「スター発掘コンテスト」でグランプリを取って、以前からの夢だった自分のブランドを立ち上げる権利を獲得したんだそう。

同コンテストは、「どんな内容でもいいから動画を作ってユーチューブにアップして、それの再生回数が最も多い人が優勝!」という、非常に今っぽい企画です。

優勝したら、会社が夢を叶えてあげます!という趣旨で、夢の中身は別に服と関係なくても良かったんだとか。中村さんは元美容師という経歴を生かし、ヘアメイクのハウツー動画を投稿していました。

…ただ、そんな楽しい企画から生まれたブランドと聞くと、天の邪鬼な記者としてはちょっとイジワルな疑問が浮かぶじゃないですか。「…ブランドとして、どこまで本気でやっているの?」と。

で、バロックがすごいのは、私のそんなひねくれた疑問を吹っ飛ばす本気っぷりでこのブランドをやっているんですよ。

もちろん、中村さんも自分のブランドをやっていくために生産やMD面のこと、その他諸々を必死で勉強されているんだと思います。

同時に、会社側からも、「このブランドを真剣に育てて、次の時代のヒットメーカーにしてみせる!!!」という心意気を感じる。                                                少なくとも、私はセカンドシーズン(16~17年秋冬)の展示会で、そういうムードを感じました。

そうした真剣さもあって、実際に、16年春夏の反応は当初の想定よりも良かった模様。

もちろん荒削りな部分はまだまだあるでしょうが、私はこのブランドから、やる気のある若者にチャレンジの機会を与えて、それを会社全体の利につなげようとするバロックのダイナミズムみたいなものをビシビシ感じました。

そして思いました、「ここ、いい会社だなぁ」と。

15年年末のインタビューで、バロックの村井博之社長がおっしゃっていた企業風土についてのコメントが非常に印象的だったので、抜粋しておきます。

挑戦はバロックの企業精神です。挑戦にはリスクも付き物ですが、試行錯誤を繰り返し、失敗を成功の母として次につなげることが大切。そうした考えを社員に伝えていくことが社長の挑戦でもある。今まで会社主導で作ってきたブランドもありますが、若い人が「これをやりたい」と信じて始めたブランドが、今では50億円以上の売り上げ規模に育っている(※)。だからこそ、私が指示するより、若い人のチャレンジ精神や探究心、可能性を信じて挑戦することが大切だと思っています。

※同社の基幹ブランド、「マウジー」や「スライ」は、元々渋谷109の販売員さんが自分の着たい服を作ってギャルファッションの一大ブームを巻き起こしたブランドです。

さて。話をラクラスに移します。 

ラクラスは既存の「ドゥーズィエムクラス」「アパルトモン」に続き、16年春に「エーピーストゥディオ」という新業態を新宿のニュウマンで立ち上げていらっしゃいます。

今春開業の最注目商業施設、ニュウマンの中でも予算比5%増と売り上げ好調を誇っているテナントなので、その動向をチェックしていらっしゃる業界の方も多いでしょう。

 


JRのコンコースから直結の好立地にあるエーピーストゥディオのショップ@ニュウマン

 

で、そのエーピーストゥディオなんですが、中心となって手掛けているのが、なんと20代後半のチームなんですよ。

核になっているのは、元々ドゥーズィエムでオリジナル商品の企画やバイイングを担当していた27歳の女性です。

それを聞いた時、「えっ!?そんなに若い人がやっているの!?」と私思いました。

ニュウマンに出す新業態という非常に重要なプロジェクトを、そんなに若い人たちが担当しているのかと。

実際、私のように驚いた人は少なくないようで、聞くところによると「そんなに若いチームで大丈夫?」と不安視する声も各所であったようです。

でも、そのチームを任命したラクラスのコンセプターである佐藤恵さんは、「責任は私が取る」と取材でおっしゃってました。

こんな風に言ってくれる上司って、現実世界だとなかなか居なくないですか?こんなこと本当に言ってくれる上司なんて、都市伝説か島耕作の中だけにしか存在しないと思っていたわ…!

※遠回しに自分の上司をディスっているわけではない。

任された若いスタッフの方も佐藤さんの期待やお客様の声に応えようと奮闘し、「新しいブランドを作り、自分のやりたいことを提案できることに、プレッシャーと共にやり甲斐を感じています」とおっしゃっておられましたよ。

この話は16年4月13日付け12面で詳報していますので、そちらを是非お読みくださいませ~~。

佐藤コンセプターの言葉に、ラクラスの企業風土が凝縮されていると感じたので紙面から抜粋しておきますね。

子供を育てるのと一緒で、会社でも若いスタッフに経験させて、失敗させないと、責任感もやる気も芽生えません。自分でやらないと達成感も感じない。…(中略)…若い子はフットワークが軽くて、情報収集力も高い。でも、単にトレンドものを買い付けてきた、ヒットしそうなものを企画したというのでは、店やブランドとしてはダメです。経験のあるベテランメンバーのディレクションを加えて、ブランドらしさのフィルターをかけることが重要になる。これを、10年後に今の若い世代ができるようになるか。そのために、若い子に経験を積ませています。

というわけで、バロック、ラクラスとも、社員、特に若手社員にチャレンジさせる土壌がある企業だということが皆さまにもお感じいただけたのではないでしょうか。

言い換えれば、組織の上層部に、若い社員のチャレンジを受けとめる懐の深さがある企業です。こういう風土こそが両社の好調の原動力なのではないかと。

世の中全体が好景気の時代だったら、挑戦せず、今までやってきたことだけをただただ続けていくだけの企業でも、世間の景気上昇とともに業績は上がっていくんでしょうが、経済状況が全般的にアゲインストな今の時代に守りに入っていては、右肩下がりで業績を落とすだけです。

そういう意味で、挑戦の姿勢無しに伸びる企業など、今の時代には存在し得ないんでしょう。

自社への戒めも込め(いや自社に対しては“戒めも”でなく“戒めしか”ないですけど)、そう思います。

エルメスのブランド哲学(?)を語る際によく出てくる言葉、

「ブランドとして本質的に変わらないために、常に変わり続けないといけない」(表現の詳細は曖昧ですが、確かこういった内容のもの)も、こういう挑戦の姿勢の重要性を意味しているものではないかな、と。

で、いきなり話が飛びますが、ファッション業界を志向する若者が減って、ウェブやITサービスの世界を目指す人が増えている、ということが昨今よく言われております。

ウェブ、ITの世界って、ベンチャーマインドに溢れている会社が多いですから、どんどん新しいことに挑戦して、自分を大きく成長させる機会が沢山あるんじゃないかと(そしてお金も沢山稼げるんじゃないかと)若者たちは感じているんでしょう。

事実あの業界には、そういう魅力的な会社が多いんだと思う。

ファッションとか繊維とかって、言ってみれば成熟産業ですから、チャレンジとか挑戦のイメージが薄いんだと思います。

業界全体としては今後衰退する一方だという見方もあるでしょう。

ただ、そういう中でも、バロックやラクラスのように挑戦するマインドを持った企業はあるし、そういう会社は伸びている。

担当企業じゃないのであまり詳しくは存じ上げないのですが、ユニクロやGUのファーストリテイリングもそういう企業の典型ですよね。

ファストリのサイトのコレを読んで、ファストリはチャレンジしたい若者にとっては非常にいい会社なんだろうな~と改めて思ったのでした。もちろん、そのチャンスを勝ち取るためには、苛烈な、それはもう苛烈な努力が求められるわけでしょうが。 

ブラック企業問題などで騒がれた時もありましたが、元ファストリの人に聞いた話から判断するに、あの企業はやはり自ら貪欲に手を伸ばす者にチャンスを与えるという意味で、夢のある会社だと私は思う)

というわけで、ここまで散々「挑戦するマインドがある会社は云々~~」とか書いてきましたが、かく言うオマエは挑戦しておるのか、と問われると非常に痛いところでございます。  

こんなオールドメディア中のオールドメディアみたいな媒体に居る身で「挑戦が~」とか言っても、何の説得力も無いのではないか…ずーん。。。

精進します…!!!

ダラダラと長くなってしまいましたが、最後にこれだけは言わせてほしい。

繊 研 新 聞 で 新 卒 採 用 向 け の 就 活 イ ベ ン ト 始 め ま し た ! !

 



ファッション業界には、このブログでご紹介した企業以外にも、チャレンジする土壌のある面白い企業がちゃんとあります。                                           

7月27日@東京、7月28日大阪で合同説明会を行いますので、学生の皆さん、そういう企業は一体どこなのかを、ご自分の目で判断しに来ませんか?

ここに詳細と応募フォームありますので、皆さまお誘いあわせの上是非来てね~~♪←本日一番伝えたいのはココです。

企業はマッシュグループやオンワード樫山、ルック、シティーヒルなどが参加予定で~す。

というわけで本日は以上!



五十君花実 特技=ミーハーな記者・五十君がお届けする業界のよもやま話。パリコレから東コレ、ストリート、地方のおもしろショップまで、ニュースあるところに五十君あり!!…というスタンスが理想です

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