●●じゃなきゃオシャレじゃない!(五十君花実)

2016/02/22 00:00 更新


Medium %e3%82%af%e3%83%aa%e3%83%83%e3%83%97%e3%83%9c%e3%83%bc%e3%83%8902

何が美しいか、ステキか、おしゃれかの価値観は時代によって変わっていくものですが、

先日、「あー私いま価値観の変わり目を見ているんだわ」と思ったことがありました。

それは「トーガ・プルラ」の16年プレフォール展示会での出来事。

エキセントリックとも言える強さがいつもステキなトーガですが、今季はフェイクファー使いがとっても印象的でした。

定番的に出しているレイヤード風アウターも、今季はベルテッドコートにフェイクファーガウンを重ねてる風の仕上がりです。

 


この迫力がトーガならでは!

 

業界の皆さまはご存知過ぎるくらいご存知なことですが、フェイクファーって、数年前から冬のトレンド素材になっています。

火付け役は11~12年秋冬シーズンの「プラダ」

60年代調スタイルの中で、モッケモケのフェイクファーコートを出しておりました。↓コレです。

 


繊研が毎シーズン作っているトレンドブックの11~12年秋冬版より抜粋。

 

※上記トレンドブックは、弊社のトレンドセミナーを受講いただいた方にお配りしております。セミナーでは、トレンドのアイテム、素材、ディテール、色柄、雑貨まで網羅しまくっております!!

※16~17年秋冬のトレンドセミナーについての詳細は、コチラをご覧くださいませ☆ ありがたいことに、既に満席の回も出てますの~。

いかん、宣伝によって話が脱線したので戻します。

以前は、フェイクファーはあくまでリアルファーの代替で、

「本当はリアルファーを使いたいor買いたいけど、高いからフェイクファーでガマン…涙」みたいな存在だったと思います。(少なくとも日本では)

でも、プラダがそれを完璧に変えちゃった。

リアルファーの代替としてしょうがなく使うものから、パワフルな質感が他になくて面白い一つの素材へと昇華してしまった。

こういう変化を目の当たりにすると、デザイナーやクリエーターの力ってすごいな~とつくづく思います。

もちろん、フェイクファーという素材そのものが、かつての粗悪な感じから格段に進化しているという事情も背景にはあるんだけれど。

(そして、そういう世界に通じる高品質フェイクファーを作っているのが、和歌山の高野口という産地です)

あのシーズンのプラダ以来、リアルファーも勿論それはそれでいいんだけど、「こういう質感を出したいからここではフェイクファーを使う!」という、ポジティブな意味でのフェイクファー使用が広がったと思います。

「オシャレとしてフェイクファーってアリだよね」という感覚が広がったとでも言いましょうか。

私も「ミヤオ」のコートでフェイクファー持ってます。ケモノ的にモケモケしていてとてもかわゆいのです。

で、トーガ・プルラのプレ秋物がフェイクファー満載だったわけですが、トーガも独特な質感を求めてフェイクファーを使っているんだと思ったんです。

トーガのエキセントリックなイメージと、フェイクファーの質感って親和性が高いし。

もちろん、そういうオシャレ的意図も使用の大きな理由の一つとしてあるんでしょうが、展示会でプレスさんはそれとは別の理由も指摘していらっしゃいました。

それは、「海外ではリアルファーを売るのがどんどん難しくなっている」ということ。

…なるほど。

動物愛護などのエシカル(倫理的な)な考え方の部分ですね。

プレスさんいわく「国別で受け止め方に違いがあって、この国ではウサギのファーはいいけど、この動物のファーはダメ、とかがある。すごいややこしい」んだとか。

恐らく、お肉を食べるために殺した動物のレザーやファーをファッション用途に使うのはまだベターで、ファーやレザーを取るためだけに動物を殺すのが良くない、という考え方のよう。

ゆえに、ウサギの肉をよく食べる国ではウサギファーOK。一方、ウサギを食べない国ではありえない!!みたいな感じだった。

…いまいちこの解釈↑で合っているのかは定かではないので、欧米のエシカル事情に詳しい人教えてください。そしてウサギを飼っていらっしゃる方、こんな例出してすみません。

「ステラ・マッカートニー」のように、「リアルレザーやファーは絶対使わない!」っていうブランドも最近は増えてますから、エシカル的観点でフェイクファーが好まれるというのは、私も理解していたつもりでした。

日本に比べて欧米はエシカル先進国なわけだし。

でも、トーガみたいな超尖ってるブランドのマーケットでも、「リアルファーだともう売れない」という認識が広がっているというのに正直驚きまして。

…いや、むしろ、尖ってるマーケットだからこそエシカル意識が広がっているのか??

総合しますと、「エシカルマインドは、もはや一部のオーガニック志向な人達だけのものでは決してないのだな」と改めて感じた次第です。

美しさとかおしゃれであるということの価値基準の中に、エシカルであることが必然的に求められる時代がもう来ているのだな~と。

エシカル後進国の日本でも、今後より一層こういう考え方って広がるんでしょうね。

というわけで、美しさやおしゃれであることの前提条件が今まさに変わろうとしていて、我々はその瞬間を目撃しているのだな~、ということを感じたというお話でした。

よって、タイトルの●●として想定していたのは、「エシカル」とか「倫理的」とかの言葉です。

とは言え、リアルファーがなくなるとも思いませんが。だってやっぱりリアルファーにはリアルファーの良さがあるよ。

エシカル関連で話を続けます。

先日、合同展のルームスを取材した際、エシカルエリアが非常に賑わっていました。会場全体の中で一番人がいたんじゃないかと思った。

ルームスのエクゼクティブプロデューサー、佐藤美加さんいわく、「ここ数年、エシカルエリアはずっと好調」とのこと。

 


ルームス全景


そんな活況を目にし、下世話な私などは、「今エシカル分野には大きなマーケットがあるのだな¥¥」と感じたわけです。

「マーケットがある」というのは、つまり「カネが稼げる」という経済合理性バリバリな意味ですから、エシカルという言葉の響きとは相容れないように聞こえるかもしれません。

でも、倫理的なものを扱いつつ、それが注目されてちゃんとカネが回る市場になっているっていうことは、すごく健全で素晴らしいことだな、と思いまして。

だって、どんな崇高な意志があったって、商売はボランティアじゃやってらんないですもん。事業を継続していくために、カネが稼げるっていうことはものすごく大事だな~と。

そういう意味で、希望を感じたルームスでした。

というわけで、偉そうにエシカル関連の話題をここまで色々と語ってきましたが、私まだ映画の「トゥルー・コスト」(13年のバングラデシュの縫製工場崩落事故を追ったドキュメンタリー)を見ていないので、駆け込みで見てこようと思います!

渋谷のアップリンクでは3月上旬までやっている模様!

本日は以上!!

日曜深夜のアップですが、なんとか今週も「1週間に1ブログ投稿」を守ったわ…!!ゼエゼエ。。

※追記(2月23日)

「『フェイクファーならばエシカル』という考え方は、また違うのではないか」とマイボス小笠原から指摘を受けました。

確かに、フェイクファーは石油由来の繊維からできている場合が多いわけで、動物を殺してファーを使うのと石油を湯水のように使うのとでは、どっちがエシカル思考に適っているか、というのには色んな議論があるようです。

また、16~17年秋冬コレクションでは、ロンドンのトップショップ・ユニークまでがリアルファーを出している模様。一概に「欧米ではリアルファーが下火になりつつある」とも言えない様子だ、ということを記しておきます。



五十君花実 特技=ミーハーな記者・五十君がお届けする業界のよもやま話。パリコレから東コレ、ストリート、地方のおもしろショップまで、ニュースあるところに五十君あり!!…というスタンスが理想です

関連キーワードレポートプラス


Bnr counter agreement
Bnr denshiban

この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事

Btn gotop