時代が求めているもの(五十君花実)

2016/02/08 00:00 更新


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日本のファッション業界が現在なかなかの苦境にあるということは、このブログでも何度か綴って参りました。そろそろこの状況から脱したいところですが、日々色々と耳に入ってくる話(オフレコ含む)を総合すると、この苦境はどうやら今後もしばらく続きそうです(…果たして終わりは来るのか)。

でも、こういう時代だからこそ求められているものも確実にあります。前回書いた「ドゥーズィエムクラス」の話はその一つ。そして、ドゥーズィエムとはまた別のベクトルで今時代が求めているのが、フレッシュな感性を持った新進ブランド、インディペンデントなデザイナーブランドたちだと思います。最近取材をしていると、国内・海外ブランド問わず、そうしたブランドへの追い風的ムードをビュンビュンに感じるのです。

たとえば今春、有力セレクトショップや百貨店の自主編集売り場で、日本の新進ブランド、インディペンデントなブランドを買い付ける動きが非常に目立っています。

有名どころで例を挙げると、ロンハーマンが「サルバム」を、ユナイテッドアローズが「チノ」「ニアーニッポン」「ラマルク」を、リステア/221リステアが「ヨウヘイ・オオノ」「イン」を新たに買い付けています。

これだけ各店が続々と日本のブランドを仕入れる(しかもリアルクローズのブランドでなく、モード志向のブランドを)ことって、この数年間を振り返ってもなかなか稀なことです。



左から、サルバム、ニア―ニッポン、ヨウヘイ・オオノ、チノ(全て16年春夏)。
縮尺が合わせられなくてすみません…

 

上記以外でも、「マメ」「アキラ・ナカ」「アカネ・ウツノミヤ」「タロウ・ホリウチ」といったかつて新進と呼ばれていたブランド群が、着実に売れる中堅ブランドになり、有力ショップの店頭には欠かせなくなっています。

こうした日本ブランド躍進の背景には、コンテンポラリーゾーンの海外ブランドが、円安によって割高になっているっていう事情があるんだと思います。それによって、日本ブランドの競争力が相対的に高まっている。(ここにきて為替もまた動いていますが)

外国人観光客による、日本ブランドへのニーズの高まりも追い風です。

ただ、そうした為替の損得やインバウンド効果といった事情以外にも、大きな理由があるように感じています。

その理由とは、世の中全体に漂うファッション消費への停滞感と、それゆえに広がる「何か新しいものを見つけ出したい、見つけ出さなきゃ」という気分のこと。

同質化が極まっている今の市場の中では、オリジナルなクリエーションを追求し、他にはないものを作っている新進ブランド&インディペンデントなブランドの存在感が際立っているから、だから今これだけ求められるようになっているんだと思う。

15~16年秋冬の消費不振を受けて、「ちゃんと面白いものを提案しなければ、ファッションそのものが消費者の行動の選択肢から外されてしまう」という危機感を抱いていらっしゃるバイヤーさんやお店の方って、今すごく多いんじゃないでしょうか。

消費者の側でも、究極のベーシックであるノームコアブームを経て、「もう一度面白いものが欲しい」「モノが溢れるこの時代に服を買うのであれば、他にはないものが欲しい」という意識が強くなっていると感じます。(もちろん、世の中の全員がそうだとは言わないけど)

そういうバイヤー&消費者のニーズに応えるものとして、新進ブランド、インディペンデントなブランドが注目を集めているんじゃないでしょうか。

このあたりのことは、1月21日付けの繊研新聞本紙に書いておりますので、お手元にある方は是非お読みくださいませ~。

日本のブランドのことばかり書いてきましたが、「ヴェットモン」「JWアンダーソン」といった海外の若手と言えるブランドが今世界中を熱狂させているのって、根本的には上に書いてきたのと同じような理由からなんだと思います。

世界のラグジュアリーやデザイナーズブランドの市場も、巨大なブランドグループに寡占化されていて、新しいものが出辛くなっているってことなんでしょう。当の巨大グループ自体も、そうした状況に危機感を覚えて、新人発掘アワードをやっていますし。

1月中旬から先週にかけて、ここで書いてきたような日本ブランドの16年プレフォール&16~17年秋冬物の展示会が行われていたので、お邪魔してきました。

「何が売れるのかを考えることももちろん大切だけど、売れ筋を追うことを考えるのではなく、私が作りたいものが何なのかを突き詰めることが、ブランドにとってもお客さんにとっても一番大切だと思う」と「アウラ」の川島幸美さんが仰っていたのが印象的です。

インディペンデントなデザイナーズブランドの魅力って、まさに川島さんが仰るような、他にはない、愛のこもったもの作りなんだと思います。売れ筋を追っかけるという服の作り方は、もっとそういうのが得意な大きいブランドやショップがありますし。

川島さん以外のデザイナーさんからも前向きなお話がすっごく沢山聞けて、パワーを沢山いただきました。皆さまどうもありがとうございます!

私自身、厳しい時代だな~と毎日ヒシヒシと感じておるのですが、だからこそ、他に無いものを丁寧に作っているブランドやデザイナーさんにとっては、チャンスの時だと言えるんじゃないかなと思います。こういうブランドの商品が店頭にちゃんと並んで、ブランドが長く続いていくような生態系の業界になっていけばいいな~と感じております。こういう考え方って、理想論かしら…!でも、青臭い理想論を掲げることも時には大切なはず!!

というわけで、全体的に偉そうな文章ですみません。そして、週1回アップの計画は早くも挫折しました…。ずーん。。



五十君花実 特技=ミーハーな記者・五十君がお届けする業界のよもやま話。パリコレから東コレ、ストリート、地方のおもしろショップまで、ニュースあるところに五十君あり!!…というスタンスが理想です

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