ドゥーズィエムが売れてる理由(五十君花実)

2016/01/28 00:00 更新


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2015年は、アパレル業界にとって、「とにかく出店攻勢をかけて売上を作れ。他社に売り場を取られるくらいなら、自社内で食い合ってでもいいから出店しろ」という従来型のマッチョなビジネスモデルの限界をまざまざと見せ付けられた一年でした。

 大手アパレル各社の不振や事業リストラがまさにそれを象徴しているわけですが、それに加えて、この暖冬(ここにきて大寒波ですが)も冬物重衣料の販売に影を落とし、つまるところ、「なんかもうにっちもさっちもいかないよね!?」というムードが漂う昨今なわけです。ずーん。。

巨艦ユニクロの15~16年秋冬の苦戦や、15年の百貨店売上高が4年振りにマイナスとなったこと(ただし、東京地区は富裕層&インバウンド効果でプラス)などからも、こうした状況は明らかです。

どこに行っても「売れない」「売れない」ばかり聞きすぎて、もはや耳にタコ状態。

ただ、「本当にどこも売れていないのか」「こういう状況でも、売れているブランドなり企業はあるのではないのか」と問うと、実はそういうブランドもちゃんとあるんですね〜。

その代表格と言えるのが、「ドゥーズィエムクラス」さん(ベイクルーズグループのラクラスが運営)でしょう。



ドゥーズィエムクラスの15~16年秋冬の売れ筋コーディネートから。
ゆるニットが好調だったそうです

 

ドゥーズィエムがなんだか最近調子が良さそうだというのは、ファッション好きな女性なら、なんとなく肌感覚で分っているのではないでしょうか。ショップをのぞくと、いつも店頭に活気がありますから。

業界内でもドゥーズィエムへの注目度は高く、「ドゥーをベンチマークしている」とおっしゃるブランドさんは、ここ数年でぐっと増えました。

言われてみると、なんだか“ドゥーっぽい”MD構成なり内装なりのお店って、そういえば増えましたよね。

(まあ、ドゥーのようなトラッド&セブンティーズベースのシンプルモダン、ミニマルといったスタイルが、そもそも大きなトレンドだから、という部分もありますが)。

 


表参道沿いの路面店

 

具体的に、ドゥーがどれだけ好調なのか、その売上前年比などは、繊研新聞本紙1月12日付けや、1月14日発行のレディスファッション特集に掲載しているので、それをお読みいただければと思います。

別に、ドゥーだけコートが売れまくったから好調だったわけではないですよ。

暖冬でコートが売れないという他社と同じ状況の中で、どうやって売上を作っていくか。そこには、当然ながら細かいMD上の政策や、個々の販売員やチームの力を最大化する仕組みがあり、そういった様々な要因が複合して売上ができているわけです。

ただ、そういったロジカルな話とは別に、ドゥーズィエムを手掛けるラクラスの八木恵子執行役員COOを取材をした際に、「ああ、このブランドが支持されるのは分かるわ」「こういうブランドが売れて良かった」って思ったポイントがあるんですね。

それは、八木さんの「我々の何がすごいのかと聞かれたら、それはブランド愛だと答えます。我々自身が、うちの商品の100%のファンですから」という言葉です。

「ブランド愛」という言葉って、ある意味、ロジカルさと真逆のものです。記事を書く際に、そういう愛とか情熱とかのエモーショナルなものに引っ張られすぎるのは私の悪いクセでもあるのですが、でもやっぱり、「私たちの大好きな大事なブランドだから、みんなにも着て欲しい!!!」っていう愛は、人の心を動かしますよね。

ドゥーが今支持されている理由の一番核の部分には、こういうものがあるんだと思う。

逆に言うと、今そういう愛をちゃんと消費者に感じさせているブランドって、すごく少なくなっています。

 


15~16年秋冬のドゥーのビジュアルから

 

私が繊研に入って丸10年が経とうとしていますが、入社して3ヶ月目くらい?に上司に提出したレポートに、「服が工業製品みたいに作られていることに驚いた」といった内容を書いたことを覚えています。

今思い返してみると、なんて青臭いことを書いているんだと思います。服ってアートじゃなくてプロダクトだから、「工業製品」で当たり前っちゃ当たり前です。

でも当時駆け出しだった私は、無機的に大量に作られ、売られていくファッションの仕組みというものに初めて直面して、それまで抱いていたファッションの夢みたいなものとの間に大きな乖離を感じました。それで違和感を抱いたんでしょう。

それからの10年で、リーマンショックの大不況もありましたし、外資ファストファッションの上陸もありました。言うまでもなく、ファッション消費の主役とされてきた若年人口も、日本国内では減少しています。人のコミュニケーション手段も大きく変わりました。

そういう中で、ファッション業界では効率追求のビジネスモデルが年を追うごとに加速してきた。それによって、私があの頃感じた違和感を、世の中の多くの人も同様に感じるようになってしまったんだと思う。

冷静に考えてみると、シワシワの服が店頭のラックにくちゃくちゃに詰め込まれていたり、どこの店に行ってもほぼ同じ売れ筋量産品が売られていたり、年柄年中シークレットセールしているような状況では、ファッションに夢を見ろ、愛を感じろという方が無理な話です。

そういう負のスパイラルが、いま私達自身を苦しめている。

2015年は、今までの業界の価値観が完璧に崩れた一年でした。ファッションビジネスは、今まさにパラダイムシフトを迎えています。

こうなった今だからこそ、青臭いことを言うようだけど、やっぱり人のエモーションを突き動かすブランド愛であり、ファッションの夢みたいな部分が大事だよね、と改めて思うわけです。

今、それができている企業は少ないですが、できているところはドゥーと同様にやっぱり売れています。

コモディティーとしての衣料品を売っている企業はまた違うでしょうが、ある種嗜好品としてのファッションを売るブランドや企業は、根本にブランド愛なり、私はコレを本気で素敵だと思ってるから作ってるんだ!的な思いが無いと、ニセモノ感が消費者にお見通しになってしまう。

上記のようなブランド愛の話は、弊社の金谷女史が15年12月2日のコラムで書いておりますので、こちらもお読みくださいませ。

SNSで拡散していたので既にお読みの方もいらっしゃるかもですが、とっても良いコラムで、私もすごくインスパイアされました。

というわけで、私もファッションに対する愛、原稿に対する愛を忘れずに精進しようと思います。

ちなみに、ラクラスの八木さんは、「この人と一緒に働いてみたい!!」と思わず感じてしまう、ロジカルとエモーションの両方を操る素敵な女性でした。

こんな風に、取材をしていると時々「この人と一緒に働いてみたい!」と思うような人や組織に出会います。そういう出会いがあることって、素敵なことだな~、と改めて自分の仕事について思います。

というわけで本日は以上!三週間連続でブログをアップできている自分を褒めたい!!



五十君花実 特技=ミーハーな記者・五十君がお届けする業界のよもやま話。パリコレから東コレ、ストリート、地方のおもしろショップまで、ニュースあるところに五十君あり!!…というスタンスが理想です

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