バレエ・リュス展と15年春夏(五十君花実)

2014/07/10 00:00 更新


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東京・乃木坂の国立新美術館でやっている「魅惑のコスチューム:バレエ・リュス展」を見てきました。

バレエ・リュスって何?と思った方もいるかもしれませんが、20世紀初頭にパリで流行ったロシアバレエ団のことでございます。このバレエ・リュス、数年間私の中で気になるな~調べないとな~というキーワードの一つでした。…調べてなかったけど。

 


 

さかのぼること4年前。

11年春夏シーズンに、バレエ・リュスや、その主宰者のセルゲイ・ディアギレフといったキーワードを国内外のデザイナーたちがインスピレーション源として挙げていたのです。

たとえば古田泰子さんがデザインする「トーガ」。

11年春夏物のテーマは、バレエ・リュスの代表的な演目の一つである「牧神の午後」でした。その時書いた原稿によると、「バレエに登場する半獣神から着想したという有機的な曲線をさまざまなアイテムに取り入れた。カーブやスリットから肌がのぞくが、受ける印象はセクシーというよりもどこかエキセントリック」、なコレクションでございました。着物の帯みたいなファブリックもあって、ちょっとオリエンタルな感じもあったシーズンだと記憶しています。

海外のラグジュアリー系ブランドでもディアギレフをキーワードにしているところがありました。その流れもあって11年春夏はオリエンタリズムがシーズンテーマの一つとなっていたんです(バレエ・リュスはトルコとかアジアから着想した異国趣味が特徴ですから)。

弊社はそのトレンドを「ニューオリエンタリズム」と呼んでいたのですが、覚えている方ももしかしたらいるかもしれません。まー、マスに広がったトレンドではないので、記憶に無い人の方が多いでしょうけど。

 


弊社が2011年春夏シーズンに作成したトレンドファイルから


さて、11年春夏のバレエ・リュスムーブメントを作り出していたのは、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館(V&A)で10年にやっていた「ディアギレフ展」だったんだと思います。

あれを見て、シンパシーを感じた&影響を受けたデザイナーが多かったのではないでしょうか。ヨーロッパではかなり話題になった展示のようですし。

この様に、素敵な展覧会があるとそれとファッションの流れがシンクロするっていうこと、よくあります。展覧会のキュレーターも、デザイナーと同じく時代のムードを嗅ぎ取りながら次を提示する人たちなので、共鳴し合う時があるのでしょう。

当時なんの前知識なく、展示会でバレエ・リュス、ディアギレフという言葉に触れた私は、「?????なにそれ?????」という感じでした。

で、ロンドンのV&Aまで行く機会もお金も無かったので、お手軽に山岸涼子先生(聖徳太子漫画の『日出処の天子』でおなじみ)の漫画「牧神の午後」で学ぶことにしたのです。

そこに描かれていたのはディアギレフ♂と天才バレエダンサーのニジンスキー♂とのどろどろとしたあれやこれや…。鬱々しくてすんごい重かった…。バレエ・リュスがどんなものかよりも、人間関係の話しか記憶に残っていません。

漫画の話はさて置き。

そんなバレエ・リュス展が、日本にもやってくるというからには見に行かざるを得ません!!! で、冒頭の通り見てきたわけです。これが実に見ごたえ十分でしたので、是非みなさんにもご覧になっていただきたい!! 9月1日までやってます!!!

豪華絢爛なコスチューム(小物も入れて120点くらい?)を中心に、当時のパンフレットやダンサーの写真、演目の映像などが展示されています。大半のコスチュームは繊細な刺繍や切り替えが随所に施されていて、まるでクチュールのような美しさ。でも、単に美しいだけではなくて、強烈な実験性みたいなものをビシビシ感じます(美術館のため撮影はできておりません)。

たとえば、深海の話に出てくるイカ役の人の金糸刺繍のドレスは、刺繍のモチーフがイカの足です。竜のおとしご役の人はかぶりものをしていました。100年前にこのアニメチックな表現をするのはなかなかセンセーショナルだったんだろうな~と思うんです。

そして、トーガのテーマにもなっていた牧神の午後の半獣神。これは実物の衣装は来ていなくて、ニジンスキーが着用している写真のみの展示です。ホルスタインっぽい斑模様の入った薄地のボディースーツで、なまめかしいしなんか気持ち悪い。衣装だけでなく、踊りの振り付けもちょっと異様だったのだそう。前衛的ですね。画像は「牧神の午後 画像」とかでぐぐってくださいませ。

もちろん、バレエ・リュスならではの東洋趣味的な衣装ももちろんたくさんありました。トルコ王宮風パンツとか、東欧の農民服とか、インドの神様風とか。どれも色合わせが超ビビッドなのです。

今はバレエってすごく洗練された芸術で良家の子女がやるっていうイメージですけど(そんなに見たことないけど)、当時はもっとアグレッシブで実験的なものだったんだな~というのをすごく感じました。芸術というよりも、より“興行”に近いと言いますか。美しいんだけどお上品でなくて、どこか胡散臭いというか。

そんな前衛的な姿勢があるからこそ、バレエ・リュスは当時の芸術家たちを惹き付けたんでしょう。

今回の展示にはきていませんでしたが、「青列車」という演目の衣装はココ・シャネルがデザインしたそうですよ(映像で見る限り、ニットの水着?みたいなものを男女とも着ていました)。しかもその演目の台本はジャン・コクトーが書いたんだとか。シュルレアリスムの画家、デ・キリコが表紙を描いたプログラムもありました。芸術に疎い私でも分かるレベルの芸術家オンパレードです!!

さて、話は突然変わって先日までやっていた15年春夏の海外メンズコレクションの話です。

ジャポニズムがトレンドテーマとして浮上しております。ラフ・シモンズの富嶽三十六景ルックに、アストリッド・アンデルセンの化粧まわし(=相撲)スタイル。これらを見てとまどった人もいるでしょう。私もその一人です。

マイボスの小笠原も書いてますが、あまりにもあからさまなジャポニズム押しをされると、当の日本人はひいちゃうよね。

 


弊紙6月27日付けより

 

去年秋に大英博物館でやっていた“春画”展がロンドンでは大反響だったそうで、この突然やってきたジャポニズムブームも春画展からきているのかな…??と考えたりいたしました。クリストファー・ケインも去年来日していた際に、「春画展見たよ~」と言っていたとか。

春画は男女のラブを描いているとはいえ、浮世絵の一種。浮世絵はパリ万博に出品されて、20世紀初頭のパリの画家たちに影響を与えたことで知られています。パリ万博でパリ全体に東洋趣味が巻き起こり、その流れの中で異国情緒強めなバレエ・リュスの流行もあったんでしょう。

そう考えると、バレエ・リュス展と15年春夏のジャポニズムトレンドもつながってくる…!!!←こじつけ

というわけで、長々と書いてきましたが、伝えたいことは「バレエ・リュス展本っっっ当に面白いよ」ということに尽きます。宣伝以外の何ものでもない感じになってしまいましたが、美術館のまわしものではございません。

以上!!!!!



五十君花実 特技=ミーハーな記者・五十君がお届けする業界のよもやま話。パリコレから東コレ、ストリート、地方のおもしろショップまで、ニュースあるところに五十君あり!!…というスタンスが理想です

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