《めてみみ》中期経営計画とは

2024/05/02 06:24 更新


 決算発表集中期が近づいてきた。通期業績に加え、新たな中期経営計画を公表する企業も多いだろう。伊藤忠商事は新中計は策定せず、代わりに経営方針と24年度の経営計画を4月に発表した。もしかして次期中計を出さないのでは、と思ってはいた。

 伊藤忠の岡藤正広代表取締役会長CEO(最高経営責任者)は毎年1月ごろに繊維・ファッション関連の専門紙だけを集めた会見を大阪で開く。実は昨年の会見で中計のあり方を疑問視していたからだ。「(中計策定に)ものすごい時間と労力をかけているが、一つ前提が崩れると全部崩れる。(3年ではなく)もっと大きな目標を立ててやるのはいいが、そうでなければやめた方が良い」と話していた。「1年先でも(どうなるか)わからんのに3年先などわかるはずがない」とも。とはいえ本当に中計を策定しない決定には驚いた。

 発表後、それまで1株6500円程度だった株価が一時7000円ほどに跳ね上がった。味の素は昨年、中計策定をやめ話題になった。岡藤会長はその動向も見極めていた。

 取材側からいうと中計は重要視している。長期のありたい姿を実現するために何が課題で中期でどんな手を打つのか、方向性が明確になるからだ。しかし誰に向けて、何のために中計を作るのか。一度立ち止まって考える時機に来ているのかもしれない。



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