2000年春夏コレクションリポート

2000年春夏 東京コレクション

薄布を重ねて空気をはらませた「エアリーエレガンス」が東京コレクションにも登場している。フリルや刺しゅう、スパンコールなどクラフトテクニックを盛った優しいドレス、ブラウスのほか、ストリート風なスポーツアイテムに空気を取り込んだデザインも登場した。(高橋牧子)

(文頭の日付は紙面掲載日。)
タバサ
タバサ
ラッド・ミュージシャン
ラッド・ミュージシャン

1999/11/05
タバサ(奥山幸子)の今シーズンのコクーンドレスは、さまざまに凝った薄布を重ねてふんわり優しく空気を取り込んでいる。ガーゼなどの透ける布に糸くずやワラのニードルパンチ、水玉絞り、ラインストーン、フリルなどナチュラルなクラフトテクニックを飾りながらも、全体的には優しくクリーンなイメージ。モデルのメークも明るい色のアイシャドーにふっくらとした唇で、いかにも優しげ。レモンイエローやカナリアイエロー、ミモザにピスタチオといった明るく華やかな色を茶やベージュなどと組み合わせてシックに見せている。
クラブ系のシャープなスポーツスーツが人気上昇中のラッド・ミュージシャン(黒田雄一)。スポーティーなハイテク素材を使いながら、袖わきのギャザーなどでふんわりと風を取り込んだ。吸水・撥水(はっすい)性や伸縮性のあるペーパークロスのブルゾンスーツに、襟まで一重のシャツドレス。タオル地やモール風ニットのスポーツスーツ。裾の一線だけ暗闇で光る蓄光糸を使ったボーダーニット。アラベスク模様や海底写真をパネル柄にしたインクジェットプリントのTシャツやTドレスは、ステージに一瞬立ち込めたドライアイスの霧のように幻想的なイメージ。
かっちりとした端正なテーラードスーツを得意としてきたオブジェ・スタンダール(森健)もさらりと軽くなった。ひじ下までの長いカフスのダンガリーシャツにボックスプリーツのほっそりとしたマキシスカート。小さな肩のノーカラージャケットは柔らかいラップスカートと組み合わせている。抑制されたデザインの中に、たもと袖や柿渋色、ダルマやきもの柄のひもベルトなど和のモチーフを取り入れている。
リュウイチロウ・シマザキ(島崎隆一郎)のテーマは「フェイド」。買った人がそれぞれに色落ちを楽しめるよう、染色の定着加工をしていない。コットンのコートやデニムパンツ、花柄や鮮やかピンクのシャツ。切りっ放しのフリルボザムのシャツは洗えば洗うほど色が落ち、フリンジ風になっていくという具合。色落ちする前と後を見せる趣向は面白いが、多く見られた黒染めの作品は、一年前のアンダーカバーに似て見えた。
ケイタ・マルヤマは、十月に行われたパリコレクションにメンズのケイタ・マルヤマ・オムを加えた新作を披露した。シンプルなコットンスーツにセーター、ジップアップジャケット、五分丈パンツなどの組み合わせが登場、レディス同様の鮮やかな色とプリント、刺しゅうやワッペンで遊んだ。スカイブルーの綿スーツに同色のシャツのコーディネートには細い蛇革のベルト、フリンジヘムのシェルトップに合わせた花葉、蝶(ちょう)プリントのパンツ。ベーシックなラインにいっぱいのアイデアと遊びをのせた。
シンプルなワンピースにジャケット、透けるセーターにゆったりとしたパンツ。ミモリ(三森重郎)は、シックな色を使ったすがすがしい作品をそろえた。柔らかにボディーをなぞる透けるトップにパンツ、アクアブルーのシェルにオーガンディのパンツをのせたマイクロパンツ。いずれも誇張のないプレーンなデザイン。
カネコ・イサオ、ワンダフル・ワールド(金子功)は、キラキラ光る真っ赤なステージに小花ブレードやラメ、スパンコールで輝きをのせたミレニアムロマンチックドレスをそろえた。ペーズリー柄や、スカートの下からのぞく刺しゅう入りパンツといったエスニックな味付けも。メンズ・カネコ・イサオも、レザージャケットの裾からチュニックシャツの裾や絞りのスカーフをのぞかせてオリエンタルムードを出している。
ハナエ・モリ(森英恵)は十月のパリコレクションを、森パメラがデザインする若々しいカジュアルライン「ハエナ・モリ・スタジオ」とクチュール感覚のライン「ハナエ・モリ・パリ」の二部構成で披露した。
オルソ・ビューティ・ビースト(山下隆生)は、休日で人があふれ返る秋葉原の電気街を舞台に選んだ。二十四人のモデルを歩行者天国に紛れ込ませ、一般を含めた観客に全作品の写真と値段の付いたマップやコンパクトカメラを配り、ゲーム感覚でモデルを探すという趣向だ。黒いパンチングレザーのミニマルドレス、てろてろとした蛇プリントのブルゾンスーツ、裾や袖ぐりに鋲(びょう)を打ったデニムスーツなど、ちょっぴりパンクっぽい味を加えた作品はシンプルでスポーティー。「カジュアルな服なんだから、ストリートで見せた方がリアリティーがあると思って」と山下隆生。ナチュラルメークにハイソックス、頭にはサンバイザー。春夏物を着たトップモデルが、全く違和感なく街に溶け込んでしまっていた。
ミワ・ミチコ(三輪弥稚子)の初めてのコレクションには、透ける布をかぶせたジャンプスーツ、真っ赤なレザージャケットにマイクロパンツ、キャミソールトップにオーガンザのVネックブラウス、裾に毛糸刺しゅうのドットを飾ったデニムのフレアスカートなど、手作り風のトレンドデザインがそろった。

オブジェ・スタンダール
オブジェ・スタンダール
リュウイチロウ・シマザキ
リュウイチロウ・シマザキ
ケイタ・マルヤマ・オム
ケイタ・マルヤマ・オム
カネコ・イサオ
カネコ・イサオ
ハナエ・モリ・パリ
ハナエ・モリ・パリ
オルソ・ビューティ・ビースト
オルソ・ビューティ・ビースト

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